| ザ・ウォーク |
これは、１９７４年、完成直前のワールド・トレードセンターのツインタワー間にワイヤーを張り綱渡りをやってのけた伝説の大道芸人、フィリップ・プティの綱渡りを描く伝記映画。
この綱渡りについては、２００８年に「マン・オン・ワイヤー」と言うドキュメンタリー映画が作られていますが、この映画は、「マン・オン・ワイヤー」を元に、ＣＧにてツインタワーを含む当時のＮＹと、フィリップ・プティの綱渡りを再現するものとなっています。
監督は「フェレスト・ガンプ」や「フライト」のロバート・ゼメキス。
フィリップ・プティが綱渡りに魅せられたのは、子供の頃に見たサーカスの綱渡りの妙技を見た時からだった。
それからと言うものフィリップは庭の木にロープを張り、綱渡りを独習。やがて、勘当同様に家を追い出されたフィリップはパリの市中で大道芸をして日々を過ごす事になる。
そんなある日、フィリップはニューヨークに世界一の超高層ビル、ワールド・トレードセンターが建設される、と言う雑誌記事を読み、ある考えに取り憑かれる。高さ４１１ｍ、双子のように並ぶ２棟のビルにワイヤーを張り、綱渡りをやりたい――彼はこの無謀な企てに賛同してくれる仲間を集め、仲間内で「クーデター」と名付けた計画を着々と準備して……
主人公、フィリップ・プティを演じるのはジョセフ・ゴードン・レヴィット。彼は大学で仏文学専攻だったそうで、フランス語やフランス訛り英語の台詞にも違和感ありません。綱渡りの方も、フィリップ・プティ本人の指導により実際に綱渡りをマスター、シーンの多くで実際に綱渡りをして見せると言う、相変わらずの見事な役作り。
紅一点のヒロインを演じるシャルロット・ルボンも、くりっとした瞳が印象的でキュートです。
この映画、主人公がその“企み”を実行するために仲間を集め、計画して実行する、と言うクライム・サスペンス的な内容ではありますが、サスペンスとしてはあまり盛り上がりません。（結構、小ネタのギャグが仕込んであって楽しませてくれますが）
何しろ、フィリップ・プティは生きていますし、綱渡りが成功したのもよく知られています。丁寧な事に、映画構成時代、冒頭からフィリップ・プティが登場して、回想として物語るのです。つまり、この映画で「出来る・出来ない」のサスペンスはありません。
では、何をやるのか、と言えば、それはもう「見せる」しかありません。
映画の本質、“動く写真”による「疑似体験」……この映画では、ワールド・トレードセンター屋上、そこで綱渡りをやった綱の上からの光景です。
それは、史上僅か１名にしか許されなかったもので、それを「見せる」のがこの映画の価値と言っていいでしょう。
その意味では、これは「映画」ではなく「アトラクション」に近いのかも知れません。
これは大画面、それも３Ｄで観るべきもので、家庭用のＴＶで見たらその価値は大きく損なわれるものでしょう。
ただし、注意点がひとつ。
この映画は高所恐怖症の人は観られないと思います。高い所がどちらかと言うと好きな私だって、鳥肌が立つくらいのシーンの連発でしたから……
そんな映画ではありますが、エピローグは不意打ちでした。
荘厳なまでに美しくも哀しい光景に思わず涙してしまいました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督・脚本
■出演
フィリップ・プティ ・・・ ジョセフ・ゴードン=レヴィット
アニー ・・・ シャルロット・ルボン
（その他のキャスト）
ベン・キングズレー ジェイムズ・バッジ・デイル ベン・シュワルツ クレマン・シボニー ベネディクト・サミュエル
マーク・カマチョ スティーヴ・ヴァレンタイン
■コピー
命綱なし 一生に一度の 狂った世界をを楽しめ
■Ｌｉｎｋ
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