Ｓ Ｐ Ｅ Ｃ Ｔ Ｒ Ｅ
００７
これは、「００７」シリーズの第２４作目にして、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる現在の「００７」シリーズ第４作。
メキシコシティで、テロ計画を阻止したジェームズ・ボンドだが、派手な立ち回りを上司のＭは叱責し、自重するように求める。
実は諜報部門の再編が計画中されており、Ｍが率いるＭＩ６をＣが指揮を執るＭＩ５に吸収合併させようと言う動きがあり、何かと批判される００ナンバーのエージェントの活動を抑えたいと、Ｍは考えていたのだ。
だが、そんなＭの狙いを無視して、ボンドはローマに飛び、国際的な犯罪組織の秘密会議に潜入する。
その組織の首領は、ボンドにとって忘れがたい人物だった。
組織に迫る為、ボンドはかつての宿敵、Ｍｒ．ホワイトが組織の一員だった事を突き止め、彼の行方を追う。
Ｍｒ．ホワイトは自殺したが、彼の遺言に従い、また、組織の手がかりを求めて、ボンドはＭｒ．ホワイトの娘のマドレーヌに会う為に雪山のクリニックに向かうのだが……
「今時、タキシードを着たスパイなんて……」と言う冷笑混じりの批判への対抗として、全面的にリニューアルした、ダニエル・クレイグ版の「００７」も既に４作目。
ダニエル・クレイグとの契約は５本だったそうですが、彼は、撮影の負担が大きなこのシリーズに辟易としており、映画が完成する度に「もう出たくない」と発言しています。この４作目は「次にやれ、と言われたら手首を切る」とダニエル・クレイグが言う中での製作だったようで、本来５本シリーズを、この４作目で強引に完結編にしたような印象がありました。
（終盤のエピソード、あそこでマドレーヌがボンドを裏切るものと予想していたのだけど……レア・セドゥは悪女役も出来る女優だし）
また、このシリーズの特徴は、これまで基本的に１話完結だったのをあらため、続き物として作られていることで、映画内の時間と現実時間が乖離している事も、シリーズを続けていく事を難しくしているように思えました。
映画としては、現実路線に振ったクレイグ版「００７」シリーズですが、前作「スカイフォール」は余りに行き過ぎと言われたせいもあってか、本作では方向性が変わり、原点回帰した感がありました。
任務に就く際にはきっちりスーツに着替える辺りとか、ボンドカーには後方射撃用機関銃から射出座席まで装備されている、と言うスパイギミック満載の装備品類とか……さらに「スペクター」まで出て来るのですから、これは「００７」シリーズのファンには嬉しい内容ではないでしょうか？
また、アクションについても、伝統を踏襲。最近多用されるＣＧには頼らず、出来る部分は実写でやろう、と言うのも見応えあり。
冒頭のメキシコシティでの広場上空でのヘリコプター機動とか、オーストリアの雪山でのクルマを飛行機で追走する辺りなど、「これを実際にやっているのか！」と驚かされます。
さらに、クライマックスの「スペクター」のアジト爆破シーンも実際に爆破した（その爆発の大きさに現地の軍隊が駆けつけて来たとか……）そうで、そんな往年のアクション大作的な部分も楽しめました。
ラストはいささか甘口なれど、愛した女性を失う物語で始まったクレイグ版の「００７」としては、弱点である美女と共に消えて行くと言うのは確かに綺麗にまとまっている感じ。
エンドロールにはお馴染みの「ボンドは帰って来る」とありましたが、次は新たなるジェームズ・ボンドを迎える事になるのでしょう。
ＰＳ
……と思っていたのですが、ダニエル・クレイグ、どうやら契約通り５本目の「００７」撮影を了解したとか……しかし、あそこからどう繋げるんだろう？
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
サム・メンデス
■出演
００７／ジェームズ・ボンド ・・・ ダニエル・クレイグ
Ｍ ・・・ レイフ・ファインズ
Ｑ ・・・ ベン・ウィショウ
マネーペニー ・・・ ナオミ・ハリス
マドレーヌ ・・・ レア・セドゥ
（その他のキャスト）
クリストフ・ヴァルツ モニカ・ベルッチ アンドリュー・スコット デイヴ・バウティスタ
ロリー・キニア イェスパー・クリステンセン ステファニー・シグマン アデル・バンシェリフ
ジュディ・デンチ
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