００７
スカイフォール
これは、「００７」シリーズの最新作。
１９６２年の第１作「００７は殺しの番号」より数えて、これが２３本目となる映画で、５０年目の記念作品となっています。
今回の監督は、「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス。
イスタンブールにて、ＭＩ６の潜入捜査員のリストが強奪された。
奪還しようとしたボンドは犯人と格闘中、局長・Ｍが下した犯人射殺の狙撃命令による銃弾を受けて谷底に転落、行方不明になってしまう。
重要機密を盗まれ、トップエージェントを失ったＭＩ６に追い打ちをかけるように、本部が爆破され、Ｍには犯人からの脅迫状が届く。
九死に一生を得たボンドは、怪我のダメージだけでなく、Ｍの命令によって危うく死ぬ所だった、と言う精神的にも大きなダメージを受けていたが、ＭＩ６爆破のニュースにイギリスに舞い戻る。
そして、早速、現場復帰を願い出るのだが・・・
この映画、冒頭にいきなりのサスペンスと追走劇を持って来ます。
クルマからバイク、そして、列車上での追いかけ。更にクローラーを使ってのインパクトのあるアクションを挟んで犯人に迫る、このアクションには見応えがありました。
こうして、前半にアクションの山場を作るのは、「００７」シリーズの特色で、この映画も、それを踏襲しています。
この辺りは、さすが記念作品で、こうした展開だけでなく、これまでの「００７」シリーズで使われたアイテムが登場、ファンを喜ばせる作りになっています。
ただ、「５０周年記念作品！」と言うには、物語は、意外にもこじんまりとまとまっている印象。
これまでの「００７」にあった、大風呂敷を広げる事はなく、物語の焦点は、Ｍを挟んだボンドと、敵役・シルヴァの３人に合わせられています。
勿論、アカデミー賞監督でもあるサム・メンデスならではの人物の掘り下げと繊細な演技で、重厚さを出してはいますが、中盤以降、地味な展開になっているのは否定出来ないでしょう。
また、新任のＱの作り出す新兵器も、指紋認証付きのＰＰＫと発信器のみですし、お色気たっぷりに登場した敵方の美女、セヴリンもあっさり退場してしまうのです。
なにしろ、今回（事実上の）ボンドガールは、Ｍを演じたジュディ・デンチなんですから。
（恐らく、史上最高齢のボンドガールでしょう）
確かに、荒唐無稽な設定や奇想天外な新兵器（まぁ、さすがにお色気たっぷりのボンドガールとは縁を切れませんでしたが）など無用とした、ダニエル・クレイグ主演の新生「００７」シリーズですが、今回は徹底している印象です。
しかし、地味ながらも、この映画はやるべきことをきちっとこなしています。
ボンドに過去と、そして、これまでのＭＩ６を象徴するＭとの決別をさせ、新たなＭとＱ、それにイヴを配置し、新体制を作り上げました。
そう、この映画、決して過去の総決算などではなく、これからの５０年に向けた新たなる「００７」、その幕開けを告げるものなのです。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
サム・メンデス
■出演
００７／ジェームズ・ボンド ・・・ ダニエル・クレイグ
Ｍ ・・・ ジュディ・デンチ
シルヴァ ・・・ ハヴィエル・バルデム
Ｑ ・・・ ベン・ウィショウ
イヴ ・・・ ナオミ・ハリス
セヴリン ・・・ ベレニス・マーロウ
（その他のキャスト）
レイフ・ファインズ アルバート・フィニー オラ・ラパス
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