「コンセント」

　実は、今日の主目的はコレ。(^^;
　コレ観る為にわざわざ新宿まで行ったんですよね。

　これは田口ランディの同名小説の映画化。

　物語は、主人公・朝倉ユキが、兄の死の知らせを受ける所から始まる。
　２年前から行方不明となっていた兄は、住んでいたアパートでただひとり、衰弱して死んだ。
　その死は誰にも知られることなく、死体が発見された時、兄は既にドロドロに腐乱していたと言う。
　それからと言うもの、ユキは亡霊のような兄の幻影と、自分だけが感じる「臭い」に悩まされるようになる・・・

　この映画、結論から言うと、かなり面白い。
　同様の内容の映画を挙げると「シックス・センス」になるのだろうけど、映画の面白さからすると、断然、こっちが上ではないか、と思います。
　ただ、「シックス・センス」もそうだったのだけど、主人公が自分の能力を知り、目覚めてしまってからは、妙に小さくまとまってしまった感じがあると共に、「あれ？」と思うような部分があって、納得し切れなかったのが惜しい所。
　特に、ラストにドンデン返しを仕組んでいた「シックス・センス」に較べ、この映画のオチは、尻すぼみにも感じます。

　この映画の面白さは、中盤で、主人公のユキが、この先、どうなるか判らない不安の中を揺れ動く様にあると思います。
　不意に襲いかかる幻覚、幻臭。心理学を学んだユキには、それが狂気の入り口と言う事が判っている。
　何が起ころうとしているのか、或いは、自分が狂いつつあるのか、その境界線上を描く、この辺りがこの映画の見せ場でしょう。
　その先で、「着地点」を見つけてしまってからは、この映画、失速すると言うか、ずいぶんとこじんまりとまとまってしまった印象があり、そこがちょっと残念でした。

　ユキを演じた市川美和子は、極めて個性的な美人。
　モデル出身だそうで、確かにスタイルはいいけれど、突出気味の目はアンバランスに大きく、唇も厚い。
　ただ、この容貌が物語の中で活きていたのは事実。
　「何故か印象に残って、不思議な魅力で人を魅了する」と言うユキの存在に説得力を持たせています。
　これが普通の美女だと、この映画から受ける印象が変わって来るでしょう。

　（２月１７日　テアトル新宿にて）

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