フォーカス
これは、ウィル・スミスが凄腕詐欺師を演じる映画で、天才スリ師として知られるアポロ・ロビンスを顧問に招き、そのテクニックを紹介しているのが話題となっています。
ヒロインには「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のマーゴット・ロビーが起用されました。
ある夜、ホテルのレストランで食事をしていたニッキーに、ジェスという美女が近づく。彼女はニッキーを部屋に誘い、金を脅し取ろうとするのだが、そのニッキーは凄腕の詐欺師。ジェスの手口もすっかりお見通しで、ジェスは逆に手玉に取られてしまう。
ニッキーはジェスにスリの腕前を披露しながら、詐欺の基本をレクチャーする。「人間は同時に２つのことを考えられない。だから相手の視点（フォーカス）を逸らす。その隙に盗むんだ」。
数ヶ月後、ニューオリンズで新しい仕事に取りかかったニッキーの傍らに彼に弟子入りしたジェスの姿もあった……
この映画、監督・脚本はグレン・フィカーラとジョン・レクアの２人で製作しています。映画も、真ん中で二分割され、前半はニッキーとジェスの出会いからニューオリンズでの“仕事”を経て、ふたりが別れるまでを描き、後半はブエノスアイレスでニッキーが仕組むＦ１レースを巡る詐欺計画と、ジェスとの再会を描く話になります。
２人の監督が前半後半それぞれのパートを担当したのか、内容も雰囲気も異なり、まるで２本の映画をひとつにしたような感じになっています。
映画前半パート、レクチャーに始まり様々なスリのテクニックが披露される辺りは、アポロ・ロビンスの教えもあって、説得力もあれば、テンポもよくて引き込まれます。ただ、詐欺のエピソードになると、途端に設定が無茶苦茶になり、突っ込み所満載となってしまうのが惜しい所。
それでも前半は緊張感を維持しているのですが、後半パートとなるとぐだぐだです。
ウィル・スミスは、相変わらずの俺様っぷりですが、この映画で、目立っていたのはジェスを演じたマーゴット・ロビー。鋭角的な美貌と少女のようなあどけなさを併せ持つ、その存在感は実に魅力的です。
この映画、前半はジェスがニッキーを追い、後半はニッキーはジェスを追うと言う、恋の駆け引きを描くラブコメでもあるのです。
（むしろ、ウィル・スミスが主役権限でマーゴット・ロビーといちゃつく映画ではないのか、と言う穿った見方も……）
映画の構成には疑問が残るし、脚本や設定にも無理があり、そもそも、クライムサスペンスと見せつつ実はラブコメと、これ自体が詐欺のような映画ではありますが、これはこれで面白い。
まぁ、もうちょっと上手く騙してくれれば、と思いはしますけどね。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
グレン・フィカーラ ジョン・レクア
■出演
ニッキー ・・・ ウィル・スミス
ジェス ・・・ マーゴット・ロビー
（その他のキャスト）
エイドリアン・マルティネス ジェラルド・マクレイニー ロドリゴ・サントロ Ｂ・Ｄ・ウォン
ブレナン・ブラウン ロバート・テイラー
■コピー
“視線”を盗め
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