ゴーン・ガール
失踪中の妻エイミーの捜索続く
これは、アメリカで大ベストセラーとなったギリアン・フリンの同題小説を、デビッド・フィンチャー監督が映画化したミステリー。
主演はベン・アフレックとロザムンド・パイク。
「フューリー」と共に、今年度のアカデミー賞有力候補と見られる映画です。
ミズーリ州の小さな町で暮らすニックとエイミーの夫婦。５回目の結婚記念日に、ニックが妹のマーゴと経営するバーから帰宅するとエイミーが姿を消していた。室内には荒らされた様子があり、警察の調べでは、あちこちに血痕を拭き取った跡も残っていた。
有名作家の娘でもあるエイミーは知名度も高く、何らかの事件に巻き込まれたと判断した警察は公開捜査に踏み切り、この「失踪事件」は全米に報道される。
エイミーは失踪したのか、それとも殺されたのか？――ニックは困惑するうちに、「妻殺し」の容疑者として人々の好奇の目にさらされることになってしまった。
不倫に借金、そして妻にかけた高額の保険金……ニックに不利な材料が次々と明るみに出て、ニックは徐々に追い込まれていく……
映画は３部構成で、第１部が妻の失踪に困惑するニックの視点、第２部がエイミーの視点となり、第３部がその後を描いて行きます。
物語としては、どんでん返しがウリとなる性質のものであるため、これ以上、内容に触れる事は避けますが、これは非常に面白い物語である事は確か。
謎解きのミステリーとしても面白いのですが、映画は、途中から様々な危機をあの手この手でクリアしていくサスペンスの様相も見せ、更に恐怖と向き合うスリラーの一面もあるのです。
妻と妹と不倫相手の若い恋人、それに担当する刑事も女性と、女ばかりに囲まれているニックや、有名作家の作品の主人公として知られ、物語に支配されて来たエイミーと言う設定は絶妙ですし、メディアや風評を“武器”とする駆け引きも興味深く見られました。
妻の失踪、そして殺人容疑と言う“事件”から、物語をひっくり返し人間の心理に迫って行く内容となっていく展開の鮮やかさ、そして、男と女の関係、そして夫婦関係と言うものを考えさせられる内容には唸らされます。
また、最近、予告編で内容を見せ過ぎる例が多いのですが、この映画、デビッド・フィンチャー監督自身が手掛けた予告編が、内容を見せ過ぎる事なく、また微妙にミスリードを誘う作りとなっていて、心憎い限りです。
一見ぼんやりした表情の裏に様々な感情を滲ませるベン・アフレックも好演していますが、この映画は、何と言ってもロザムンド・パイクのものでしょう。恐らく、彼女の代表作の１本になるのは確実だと思います。
冒頭の「彼女が何を考えているのか？頭の中を見てみたい」と言う台詞が、エンディングでもう１度繰り返されますが、これが全く違う意味に聞こえます。
「結婚」と言うものの本質を、極めて意地悪く描いたとも言えるこの映画、大変に見応えのあるものでした。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
■出演
ニック・ダン ・・・ ベン・アフレック
エイミー・ダン ・・・ ロザムンド・パイク
マーゴット・ダン ・・・ キャリー・クーン
ボニー刑事 ・・・ キム・ディケンズ
（その他のキャスト）
ニール・パトリック・ハリス タイラー・ペリー パトリック・フュジット デヴィッド・クレノン リサ・ベインズ
ミッシー・パイル エミリー・ラタコウスキー ケイシー・ウィルソン ボイド・ホルブルック セラ・ウォード
リー・ノリス ジェイミー・マクシェーン レナード・ケリー=ヤング キャスリーン・ローズ・パーキンス
スクート・マクネイリー
■コピー
本当に大切なものはいつも失って初めてわかる
■Ｌｉｎｋ
［戻る］