まほろ駅前狂騒曲
これは、三浦しをんの直木賞受賞作を映画化した「まほろ駅前多田便利軒」の続編。
劇場映画としては２本目ですが、昨年、同じキャストで作られた「まほろ駅前番外地」のテレビドラマがありますので、３作目と言う事になります。
監督は大森立嗣。主演は瑛太と松田龍平で、前作のスタッフとキャストが再結集しています。
多田啓介がまほろ駅前で営む便利屋「多田便利軒」に、多田の中学時代の同級生・行天春彦が居候して３年目の年末。多田は、かつて行天が精子を提供した女性、三峰凪子から、娘のはなをしばらく預かって欲しいと依頼される。
育った家庭環境から子供嫌いな行天の、それも実の娘を預かると言う事態に、幾度も断ったものの、凪子に押し切られる形で行天に黙って引き受けてしまった多田は……
２作目となるテレビドラマ版（限定的に劇場公開もされましたが……）は未見の状態での鑑賞でしたが、多田と行天のコンビは相変わらず。何とも奇妙で、何処かシュール。２人が並んで立つだけで「まほろ」の世界観が出来上がる、その存在感は大したもの。
物語は、いかにも三浦しをんらしく、ちょっとトボけた味わいの中に、親子とは、人生とは、と言う心に染みる人間ドラマを紡いでいるのもいい。
また、チョイ役まで力量ある俳優を揃えた、なかなか豪華なキャスティングになっているのも見逃せません。
でも、この映画、こうした１作目から引き継ぐ美点を持ちつつ、どうにもかったるいのです。
序盤からもたつく展開でドラマが動き出さず、ヤクザと警察、それに無農薬栽培農業とあやしげなカルト宗教団体が絡んで来る展開にも新鮮味がありません。
クライマックスのバスジャック事件と、その果てのドタバタは、笑えもしないし現実味もない、空虚な騒動になってしまっているのにも白けるばかりでした。
幼少期のトラウマと向き合った行天が、結局、元に戻ってしまうのにも、呆れると言うか脱力すると言うか……
確かに、キャラクターと世界観の魅力はあり、なかなか面白いものにはなっているのですが……ちょっとこれは期待し過ぎだったかも知れません。
（２０１４年 １０月３０日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
大森立嗣
■出演
多田啓介 ・・・ 瑛太
行天晴彦 ・・・ 松田龍平
三峯凪子 ・・・ 本上まなみ
三峯はる ・・・ 岩崎未来
柏木亜沙子 ・・・ 真木よう子
（その他のキャスト）
高良健吾 奈良岡朋子 新井浩文 三浦誠己 古川雄輝 横山幸汰
水澤紳吾 大西信満 渡邉達也 原田麻由 宇野祥平 市川実和子
伊佐山ひろ子 麿赤兒 松尾スズキ 大森南朋 岸部一徳 永瀬正敏
■コピー
バツイチ二人。その愛を、命がけで守れ、便利屋！
■Ｌｉｎｋ
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