| 李小龍 （ブルース・リー） マイブラザー |
これは、２０１０年にブルース・リーの生誕７０周年を記念し、実弟のロバート・リーが協力して製作した、若き日のブルース・リーを描く伝記映画です。
ブルース・リーと言えば「燃えよドラゴン」などに出演、カンフーを世界に知らしめたアクション俳優として知られていますが、この映画が描くのは、彼がアメリカで成功する前、生まれてから少年期までを過ごした香港でのエピソードになります。
京劇の大物俳優を父に持つブルース・リーが生まれたのは、父のアメリカ公演中のアメリカでのこと。
その後、香港に戻ったブルースは、サイファン（細鳳）と名付けられ成長していった。
やがて、父のつてでリー・シウロン（李小龍）として子役として映画にも出演するようになるが、優等生の兄に対し、やんちゃなサイファンは仲間と連んで喧嘩沙汰を起こす事も多かった。
やがて強くなりたいと願うサイファンは、詠春拳の達人、イップ・マンに弟子入りして修行を始め・・・
ブルース・リーの姿を実弟と言う肉親の目から描く、と言う触れ込みの映画ですが、冒頭から暫くは特に目立つエピソードもなく、淡々と物語は進みます。
戦時中のエピソードは殆どなく（確かに、この辺りの暗い時代の話はブルースではなく両親の話になってしまう）、この辺りは正直、面白味に欠ける印象でした。
まぁ、この幼少期のエピソードに登場する人々には、香港映画界の大物が多いそうで、詳しい人には「こんな人とも繋がりがあったのか」と言う楽しみがあろうかと思いますが、そこまで詳しくないので・・・
ロバート・リーが登場する、ブルースが１０代後半になってから、物語はブルースを中心に転がり出し、映画は盛り上がりを見せます。
しかし、この辺りの話、確かに５０年代香港の若者文化を描く点で興味深いシーンもあるのですが、全般としては、ありがちな青春モノのエピソードに終始しているのが物足りません。
弟ならではの、もっと踏み込んだ描写があってもよさそうに思うのですが・・・
少年期のブルースを演じたアーリフ・リーは、当初、タレントの森泉を連想してしまい、ちょっと印象が違うなぁ、と言う違和感が強かったのですが・・・鍛えられた肉体美もあり、高校ボクシングチャンプとの格闘シーンなどは、確かにブルースを思わせるものでした。
クライマックスは、裏社会の阿片窟から友人を救出する、と言うもので、恐らく、これは創作されたエピソードでしょうが、ここはさすがに手に汗握る、サスペンスとアクションになっています。
物語の中盤辺りにも、こうしたシーンがあるとよかったように思うのですが・・・やはり、弟を味方に引き入れたとしても、神格化されたスター故に、思い切った脚色は難しい、と言う事なのでしょうか？
ラストシーンは、アメリカへの旅立ち。
その先もまだ観たい気分ですが、さすがに、それはロバート・リーの見ていない部分。
この映画では到底望めないものになってしまうのが残念です。
（２０１３年 ８月 ３日 新宿武蔵野館にて）
（作品データ）
■監督
イップ・ワイマン、マンフレッド・ウォン
■出演
ブルース・リー ・・・ アーリフ・リー
（その他のキャスト）
レオン・カーフェイ クリスティ・チョン ハンジン・タン ジン・アウヨン
ジェニファー・ツェー ゴン・ミー
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