アイアンマン ３
これは、自ら開発したパワードスーツを身にまとう“戦う実業家”、アイアンマンことトニー・スタークの活躍を描く劇場版第３弾。
「アベンジャーズ」の戦いから１年――地球に迫る強大な敵の存在を知ったトニー・スタークは、会社の経営を信頼するペッパー・ポッツに譲り、新型アイアンマン・スーツの開発に没頭していた。
だが、彼を駆り立てているのは恐怖だった。
戦いの中、“宇宙の穴”の向こう側を見たトニーは、それ以来、ＰＴＳＤに苦しみ、眠れぬ夜を過ごしていたのだ。
そんなある日、トニー宅を、マンダリンを首領とする謎のテロ組織が襲撃し、自宅と研究設備を破壊、トニーも行方不明となってしまう・・・
これまで２作の監督を務めたジョン・ファブローから、シェーン・ブラック監督に交代した第３作は、かなり作品の雰囲気が変わりました。
美女をはべらせ、クルマとバイクに熱中、アイアンマン・スーツの開発も何処か楽しむようにやっていた、“大きなお子様”だったトニー・スタークが、この映画では、最初っから悩み、苦しんでいるのです。
まぁ、それが「アベンジャーズ」の戦いＰＴＳＤによる、と言うのはいかにも現代風の設定に思えました。
今回の敵役となるマンダリンは、原作コミックでは、フビライ・ハーンの子孫で中国を影で支配する、アイアンマンでも最強級の敵でしたが、映画では、中国的な要素は一切排除されました。
（中国を敵にすることを避けたのは、最近の映画事情を考えた経営側の都合でしょうか？やはり・・・）
外観は、ビン・ラディン紛いの中東風で、演じているのはベン・キングズレー。
アカデミー賞俳優を起用して、その正体がアレですからねぇ・・・確かに、意表は突かれましたが・・・
また、シリーズものの場合、そのパワーが回を増すごとに増えて行くものですが、今回はスーツの遠隔操作が可能となり、しかも遠隔地から呼び出せる、となりました。
しかも、同時に複数のスーツの操作が可能とは・・・これはいささかやり過ぎているのではないでしょうか？
特に、最後の“アイアンマン花火”は・・・いくらトニー・スタークでも豪勢にも程があろう、と言うもの。
今回のヴィランは、意外性はありましたが少々物足りない感は否めず、しかも、止めを刺したのはトニーでさえない、と言う・・・まぁ、それもまた意外性がありましたが、活劇としては少々締まらない幕切れにも思えました。
ラストシーン、遂にリアクターをトニーは捨てます。
そして、アイアンマン・スーツを脱ぎ捨て、宣言するのです。「私がアイアンマンだ」と。
これから、「アベンジャーズ２」に向けての「アイアンマン」第二幕。さて、どんなヒーロー像を見せてくれるのでしょうか？
（２０１３年 ４月２９日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
シェーン・ブラック
■出演
アイアンマン／トニー・スターク ・・・ ロバート・ダウニーＪｒ．
ペッパー・ポッツ ・・・ グウィネス・パルトロウ
マンダリン ・・・ ベン・キングズレイ
（その他のキャスト）
ドン・チードル ガイ・ピアース レベッカ・ホール ステファニー・ショスタク
ジェイムズ・バッジ・デイル ジョン・ファブロー ワン・シュエチー マーク・ラファロ
スタン・リー
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「さらば――アイアンマン。」
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