キャビン
Ｔｈｅ ｃａｂｉｎ ｉｎ ｔｈｅ ｗｏｏｄｓ
これは、「クローバーフィールド」の脚本家、ドリュー・ゴダードの初監督作品。
この映画、撮影は２００９年頃行われ、２０１０年公開の予定でしたが、製作会社のＭＧＭの財政難によりお蔵入り状態となり、作品を買い取ったライオンズゲートにより昨年、漸く公開にこぎ着けた、と言うもの。
（キャストが若く感じられるのはそのせいでしょう）
尚、本作、「アベンジャーズ」監督のジョス・ウェドンが脚本を担当しており、その趣味が大分反映されているように思えます。
真面目な女子学生のデイナは、友人に強引に誘われ、人里離れた森の奥にある湖畔の別荘で、夏のバカンスを過ごす事になった。
その夜、彼らは、古びた品々が数多く置かれた地下室を発見。
デイナが、古びた日記を見つけて内容を読むと、森の中で何者かが目覚めた――
そして、その様子を観察、それどころか状況をコントロールしている人々がいた・・・
森の中の別荘に滞在する若者たちが襲撃され、ひとりずつ殺されていく・・・と言うのはホラー映画としては定番の設定。
若者たちも、清楚な美女に、セクシーなギャル、体育会系のスポーツマンに優等生、そしてトラブルメーカーと、これまた定番となる人物配置がされています。
そんなありきたりの設定を「仕組まれた」ものとし、これが終始監視されている、と言うヒネリを加えてはいるものの、これまた予告編で早くもバラしてしまい・・・どうするんだ、一体？と思っていたら、何と、モンスター大集合の大暴れ、と言う展開。
なるほど、これは、どうやらジョス・ウェドンの趣味のよう。
要は、モンスター版の「アベンジャーズ」と言う所が狙いだったのではないでしょうか？
そう考えると、導入部の思わせぶりたっぷりな展開にも合点が行きます。
ホラー映画としては、導入はあくまで明るく、徐々に日常にキシミを入れて行くのが定番ですが・・・冒頭からそうした描写を入れているのは、これが正当ホラーではなく、ホラーテイストを盛り込んだパロディ映画、と言う事ではないでしょうか？
（それ故、ホラー映画ファンからは嫌われそうな感じも・・・）
Ｂ級っぽい映画ながら、キャストはなかなか・・・と言うか無駄に豪華。
大物スターを幾人も配し、若手でも、撮影当時でも「マイティ・ソー」主演の決まっていたクリス・ヘムズワースを起用していますから。
また、主演のデイナ役のクリステン・コノリーは可愛らしい顔立ちで役年齢に近いのか、と思ったら、実は若手最年長で撮影時でも３０近いお姉さんでしたか・・・
ホラー映画の定番設定を頂戴しながらも、それをヒネって使う、と言うこの映画。
ラストも定番展開を嫌い、更に、人気ホラー映画には定番となるシリーズ化を不可能にするために、思い切った展開として来ました。
「お約束」は全部ひっくり返してやる、と言う気概さえ感じさせたラストカットには、さすがにびっくりしました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
ドリュー・ゴダード
■出演
デイナ ・・・ クリステン・コノリー
カ−ト ・・・ クリス・ヘムズワース
ジュールス ・・・ アンナ・ハッチソン
マーティ ・・・ フラン・クランツ
ホールデン ・・・ ジェシー・ウィリアムズ
（その他のキャスト）
リチャード・ジェンキンス ブラッドリー・ウィットフォード ブライアン・ホワイト エイミー・アッカー
ティム・デザーン トム・レンク シガニー・ウィーヴァー
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