セシル・Ｂ　　
　　　　　　ザ・シネマ・ウォーズ

　今日は、代々木公園で、毎年恒例の「低公害車フェア」があるので、渋谷まで出掛け、そのついでに、せっかく渋谷まで行ったのだから、と映画を観て来ました。(^^;

　この映画、「ピンク・フラミンゴ」や「Ｉ ＬＯＶＥ ペッカー」などで知られる、”悪趣味監督”ジョン・ウォーターズの最新作。
　現在のハリウッドの映画ビジネスを皮肉った（それも同じ映画で！）ブラック・コメディです。

　映画の舞台はボルティモア。
　新作映画のチャリティ試写会の舞台挨拶に出向いたハリウッド女優、ハニーは試写会場の映画館で暴力的に拉致される。
　実行グループは、セシル・Ｂ・ディメンテッドと名乗るインディーズ映画監督。
　彼は、ハリウッドの映画ビジネスに反旗を翻す為、ハニーを主役とした反ハリウッド映画を撮影し始める・・・

　新鮮味のない、無難なシリーズものや、宣伝と大物俳優だけに金を使った大味な見せ物映画、そして絶対安全なお涙頂戴もの・・・そんな映画を量産し、数多く建設した郊外のシネコンに配給する、「物量作戦」で人々から金をむしり取る、ハリウッドの映画ビジネス。
　本当に個性的な作品はハリウッドでは認められず、低予算のインディーズ映画として製作され、細々と上映されているのに過ぎない。
　今こそ、そうしたハリウッドの映画ビジネスに反旗を翻す時だ、と言う映画の中でのセシル・Ｂの主張に納得出来る部分があるのが、この映画の困った所。(^^;
　そんなセシル・Ｂの、ハリウッドに対抗するには、もはや、テロリズムの他はない、と言う、映画の展開はいささか悪ノリであるにせよ、そこには、ジョン・ウォーターズの、映画に対する危機感のようなものが感じられて興味深いものがあります。
　（ま、皮肉なのか本気なのかは微妙ですが・・・(^^;）

　また、様々な映画ネタが仕組まれているのも面白い所。
　どこかで聴いたような映画音楽の流用とか、引き合いに出されるハリウッド映画とか。
　（「『フリントストーン２』に、何故客が入るんだ？」には思わず苦笑。他にも、「パッチ・アダムス」とか、「フォレスト・ガンプ」とか・・・(^^;）
　また、セシル・Ｂの仲間の、映画俳優や撮影スタッフは、それぞれ尊敬するハリウッドでメジャーになれなかった監督の名前を入れ墨しているのもニヤリとさせられた所です。
　（サム・ペキンパーにアルモドヴァル、デビッド・リンチ、スパイク・リーなどなど・・・あと、ラス・メイヤーでも入っていれば完璧か？(^^;）

　ハリウッドに対抗するとなると、やはりそれを応援する人はいるもので、映画では、カンフー映画やポルノ映画などの「非ハリウッド映画」のファンが味方につく展開。
　追われた主人公たちが、カンフー映画をやっている映画館を見つけ、「よしっ」ってな感じで飛び込むと、観客たちが追っ手をカンフーの使い手になりきって防ぐ辺りは、面白かった所です。

　ジョン・ウォーターズらしい悪趣味な部分も健在で、セットからキャラクター設定、メイクや服装、みんな「変」。(^^;
　そればかりでなく、この映画、誘拐されたハニーがいつの間にか誘拐グループに協力するようになると言う、有名な「ハースト事件」そのままの展開なのですが、その張本人であるパトリシア・ハーストに出演依頼していると言うのは・・・やはり、この監督、悪趣味と言うかマトモじゃないかも・・・(^^;

　（６月２日　渋谷・シネアミューズにて）

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