映画 紙兎ロペ
つか、夏休みラスイチってマジっすか!?
これは、ＴＯＨＯシネマズで、ＣＭ予告編の合間に上映されていた短編アニメ「紙兎ロペ」の長編版。
通常なら、「劇場版」と言う所でしょうが、これは元々劇場上映なので劇場版ではなく、長編版となります。
この「紙兎ロペ」は、ロペとアキラ先輩が、特に物語もなく、いかにも今の高校生がしゃべりそうな日常語で会話しているだけのゆるゆるの作品で、これをどう長編に仕立てるのか、不安もありましたが、これはなかなか面白い映画になっていました。
夏休み最後の一日を存分に楽しもうと、朝早くから遊び歩いているアキラ先輩とロペ。
ところが、アキラ先輩は夏休み最大の難関である自由研究に全く手をつけておらず、その上、壊してしまった姉ちゃんのピアスを直さなければならなかった。
その頃、近くの美術館では、目玉の秘宝が何者かによって盗まれて・・・
アニメーションは手間のかかる映像表現であり、かつては集団作業で作り上げるものでしたが、コンピューター支援技術の進歩により、今やアニメを個人製作することは、難しいことではなくなっています。
そのひとつの頂点が新海誠の「ほしのこえ」ですが、そこまでいかなくとも、ＧＩＦアニメなど簡便な手法で作品を作る事も出来ます。
やはり、ＴＯＨＯで劇場マナー広告を行っている「蛙男商会」もそうですし、この「紙兎ロペ」もそう。
写真を加工した背景の前で、ＧＩＦアニメのキャラを動かし、声優も監督自身で行って作り上げたものです。
この作品の特徴は、ロペとアキラ先輩の掛け合いの面白さで、これが、殆ど動きのない、物語性も希薄な、このアニメを面白く観させていました。
ただ、こうした小ネタだけでは長編となると持たないので、長編版では、そこにドラマを作ります。
アキラ先輩が、夏休みの自由研究のテーマに選んだのはツチノコ探し。そこに博物館から古代エジプトの秘宝を盗み出した怪盗団の物語がからむという展開だ。
ツチノコ探しで主人公たちを常に移動させ、そこに怪盗団をからめて追いかけっこのサスペンスを作り、最後はアクションシーンを入れてスペクタクルの見せ場を作るという構成は、定石通りではあるけれど、確かに手堅くまとまっています。
そうして物語を転がし、その間にも相変わらずの小ネタで笑わせ、所々、背景にも遊びを加えてニヤリとさせる。
この「紙兎ロペ」、短編ではあまり笑いも出ないのですが（やはり、ＣＭ予告中の「おまけ」感が強いせいか・・・）、これだけを観るとなるとやはり面白くもので、劇場内に笑いが絶えない状態でした。
映画ラストには「終」ではなく、「つづく」。
勿論、またＴＯＨＯのＣＭ予告で会いましょう、と言うことでしょう。
この映画製作のため、暫く上映のなかった「紙兎ロペ」ですが、５月以降には、新作製作が再開されるようです。
（２０１２年 ５月２６日 ＴＯＨＯシネマズ川崎にて）
（作品データ）
■監督
内山勇士 青池良輔
■出演
ロペ ・・・ ウチヤマユウジ
アキラ先輩 ・・・ ウチヤマユウジ
（その他のキャスト）
篠田麻里子 バカリズム ふかわりょう ジョージ・ウィリアムズ チャド・マレーン LiLiCo ピエール瀧
■コピー
“映画化は不可能でしょ”と言われた「紙兎ロペ」が、まさかの映画化!!
■Ｌｉｎｋ
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