宇宙兄弟
ＬＩＦＴ ＯＦＦ！
これは、小山宙哉の同題の人気コミックの実写映画版。
監督は、「ひゃくはち」で注目された森義隆で、森監督の２作目の映画になります。
小学生の頃、ＵＦＯを見た事をきっかけに宇宙への夢を膨らませていた南波兄弟。
弟の日々人は、夢に向かって真っ直ぐに進み、宇宙飛行士となって、日本人として初めて月面に立つ事になった。
一方、同じ夢を抱きつつも自動車会社で働く兄の六太は、社の役員に弟をバカにされたのに立腹して頭突きを食らわせてしまい、クビになってしまう。
無職になった六太に、ＪＡＸＡの宇宙飛行士選抜試験の書類選考通過の通知が届いたが・・・
はらの場合、もうロケットが飛ぶだけで映画評価は２割増し。しかも、基本は青春映画なのですから、これはもう最初っから気に入るのが当然、と言う映画です。
コミックとアニメ版は残念ながら未見でしたが、評価の高い作品でしたし、映画版もさぞかし・・・と期待して観に行ったのですが、これは期待通り、いや、それ以上の映画でした。
ただ、「宇宙に行く」と言う、夢を現実にする物語だけでなく、手の届きそうもない先に行ってしまった弟を見守る兄の葛藤、そして、夢かなえた弟の冒険を平行して描く、と言う詰め込み過ぎにも思える内容、そんなドラマに、大きな協力を寄せたＪＡＸＡとＮＡＳＡが、迫真のリアリズムを与えました。
特筆すべきは、月ロケットの打ち上げシーンで、そのリアリティ、その迫力とも、現実と見紛うばかりの出来映えで、実写フィルムと合わせて迫真の映像を作り上げた「アポロ１３」をも凌ぐものと思いました。
また、宇宙飛行士選抜試験の様子と、その最終試験になる閉鎖環境試験、これはなかなか興味深い内容でした。
あと、バズ・オルドリンはまさかの本人出演。
（２０２５年に何歳になるんだっけ？と言うのは野暮なツッコミでしょうね・・・）
注文をつけるとすれば、２０２５年と言う時代設定の割に「未来感」が希薄だったこと。
まぁ、確かに、ＪＡＸＡとＮＡＳＡの現有設備を使っての撮影もあるだけに、むしろ、それが足かせになったのか・・・日進月歩の筈の、コンピューターや携帯電話が現在と変わらない、と言う部分には「これはないよなぁ」と思ってしまいました。
物語としては本当に真っ直ぐで、宇宙開発につきものの「影」の部分――軍事利用や、国家の威信、など――が綺麗に抜け落ちていたりもするのですが、大空目指して真っ直ぐ駈け上がるロケット同様、少年の純粋な憧れを胸に、キラキラした瞳のままで宇宙に行く兄弟の姿を見れば、そんなことはどうでもいいか、と。
夢を実現させ、約束を守ろうと言う、ふたりの真っ直ぐな思いを形にしたこの物語。
これは正しい「男の子」の映画です。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
森義隆
■出演
南波六太 ・・・ 小栗旬
南波日々人 ・・・ 岡田将生
バズ・オルドリン ・・・ 本人
（その他のキャスト）
麻生久美子 濱田岳 新井浩文 井上芳雄 森下愛子 益岡徹
堀内敬子 西村雅彦 グレゴリー・ペーカー ジリ・ヴァンソン
ルドルフ・マッカラン チャド・マレーン 中野澪 中島凱斗 野口聡一
吹越満 塩見三省 堤真一
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