永遠の僕たち
これは、「エレファント」のガス・ヴァン・サント監督が描く、世界の残酷さに直面した、少年と少女のはかなくも健気なラブストーリー。
いかにも、ガス・ヴァン・サント監督らしい、詩的で，繊細な美しさを持つ映画です。
主演は、あのデニス・ホッパーの息子であるヘンリー・ホッパー。
ヒロインは「アリス・イン・ワンダーランド」のミア・ワシコウスカ。
孤独な少年、イーノック。
両親を事故で亡くした彼は、「死」に取り憑かれたように自殺の現場や、見ず知らずの人の葬式に潜り込むことを繰り返していた。
友人と言えそうなのは、彼にしか見えない特攻隊員の幽霊ヒロシのみ。
ある葬式で、イーノックはアナベルという少女に出会う。一目で彼を「偽参列者」だと見抜いたアナベルは、その日以来、彼につきまとうようになり、やがて「死」によって結びつけられたふたりは、関係を深めていくのだが・・・
この映画、ジャンルとしては難病＋純愛ものですが、これは、同時に主人公イーノックが、人の「死」を受け入れるまでの物語でもあります。
イーノックは事故で両親を失い、自分も臨死体験しています。しかも、彼の昏睡中に両親は死に、葬儀も終わってしまったため、彼にとっては両親は忽然と消えたも同然。
イーノックは誰もが経験する両親との別れと死を奪われ、人の「死」を経験し、受け入れる機会を失ってしまったのです。
そんな彼が、アナベルと出会い、そして彼女を失うことで、人の出会いと別れ、そして「死」を受け入れることになります。
また、この映画を、よくある難病ものと隔てているのは、主人公の友の幽霊、ヒロシです。
ヒロシを演じているのは加瀬亮。映画の中では「死」を象徴する存在であり、達観しつつも少年の純真さを持つ、印象深いキャラクターになっています。
特に、初体験後のイーノックの幸せそうな表情に、（恐らく童貞のまま死んだ）ヒロシが興味津々で質問をした後で、赤面して沈黙する辺り、なんとも微笑ましいと言うか・・・
これは、残酷な運命に直面した少年と少女の、純粋な気持ちの輝きを描く物語。
それは、まだまだ子供のふたりだからこそ持つもので、その淡く儚い輝きを見事に描き切った辺り、さすがはガス・ヴァン・サント監督です。
（２０１１年１２月２７日 ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）
（作品データ）
■監督
ガス・ヴァン・サント
■出演
イーノック ・・・ ヘンリー・ホッパー
アナベル ・・・ ミア・ワシコウスカ
ヒロシ ・・・ 加瀬亮
（その他のキャスト）
シュラー・フィスク ジェーン・アダムス ルシア・ストラス チン・ハン
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