ツリー・オブ・ライフ
これは、孤高の天才、テレンス・マリック監督の６年ぶりの新作。
２０１１年のカンヌ国際映画賞でパルムドールに輝いた作品です。
１９５０年代、テキサスの田舎町に暮らすオブライエン一家。
軍勤務のエンジニアとして働く父は音楽家となる夢を果たせなかった代わりに、子供たちには成功を勝ち取って欲しいと、３人の息子に厳しい態度で接していた。一方、母は、敬虔なキリスト教徒で、慈愛に満ちた態度で子供たちに接していた。その父と母の狭間で、ジャックは葛藤していた。
父に反感を覚えながら、弟たちには父のような態度で接してしまう・・・そんな少年時代を回想するジャックは、人生の岐路に立って自らの人生を振り返り・・・
この映画、映画冒頭に旧約聖書ヨブ記の一節（「わたしが地の基をすえた時、どこにいたか。もしあなたが知っているなら言え」）が引用されており、キリスト教のドグマに基づくものじゃないか、と危惧したのですが、その内容は、普遍的な生命のドラマを親子の葛藤と対比させながら描くもので、随分と判りやすいものだったと思います。
（少なくとも「シン・レッド・ライン」よりは・・・）
映画は、時に壮大なスケールで、命の連鎖を描きます。
その映像美は息を呑むほど。この映像を感じる為だけに、映画館に足を運ぶ価値があろうと言うものです。
そして、様々な映像とエピソードを積み重ね、やがて、映画は幻想的な「川」と「浜辺」を描きます。
生々流転、絶え間なく流れる時と命の流れが川であるならば、その川が流れ着く先、流れを止める先は――
ジャックは、時（川）の流れを拒絶するようにして砂漠と塩の湖をさまよい歩きます。
それでも、最後はすべての川が流れ着く海辺で、自分の父母と、そして自分自身と再会することになります。
行く川の流れは絶えずして しかも元の流れにあらず・・・人の一生は、その時と命の大河の中のひとしずく。やがてたどり着く終末の渚で静かにたゆたうまで、流れていくしかない。
それでも人はそうして生きて行く。
流れ着く先で、いつしか解り合えると言う望みを抱いて――
（８月１８日 にて）
（作品データ）
■監督
テレンス・マリック
■出演
ブラッド・ピット ショーン・ペン ジェシカ・チャステイン フィオナ・ショウ
ハンター・マクラケン ララミー・エップラー タイ・シェリダン
■コピー
父さん、あの頃の僕はあなたが嫌いだった・・・
■Ｌｉｎｋ
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