これは、ピーター・Ｆ・ドラッガーの名著「マネジメント」の解説書として、ビジネス書として異例の２５０万部超えと言う大ベストセラーとなった同題（それにしても長い題名ですが）の原作小説を映画化したもの。
　原作者は、ＡＫＢ４８のスタッフとしてプロデュースに加わった岩崎夏海（映画脚本も担当）で、小説の登場人物のモデルもＡＫＢのメンバーだったりするのですが、それをＡＫＢ４８主役で映画化と言うのは・・・いささか出来すぎな感もあります。

　入院した親友に代わって、都立高校の弱小野球部のマネージャーを務めることになった川島みなみ。
　野球部員たちを前に甲子園に行くと宣言したものの、マネージャーが何をすればいいかも知らない彼女は、書店で勧められたドラッガーの「マネジメント」を読み始めるが・・・

　原作は、女子高生の主役にした語り口のとっつきやすさで、高校野球を事例に基礎編として用語解説。そして、応用編として、野球部の成長を通じてマネジメントの重要さを説くと言う斬新さがウリでしたが・・・映画の方は、「娯楽」の前提の前に「マネジメント」の解説は薄っぺらになってしまいました。
　特に、書店でのコント紛いの解説。映画の雰囲気から完全に浮いていましたし、その姿勢には腹立たしささえ覚えました。ああ言うのがウケる、と思っているのでしょうか？
　手あかのついたような描写には、それこそ、「イノベーション」の片鱗すら感じられませんし、そもそも「マーケッティング」すら出来ていないように思えます。
　それこそ、「マネジメント」を映画スタッフが理解していなかった、と言うのでは笑い話にもなりません。

　一方、青春映画としてはまずまずの出来栄え。ドラマの方はなかなか感動的で、終盤、思わず涙が出そうになる展開もありました。
　気になったのは、俳優の野球が下手なことで、こんな有様なら、無理に野球をせず、エア野球をして球を後でＣＧで描いてしまえばいい（実は「ピンポン」はそうやって作られた）のに、と思いました。

　主演はＡＫＢ４８の前田敦子。
　ただ、彼女が演じた川島みなみ、峯岸みなみがモデルなんだよなぁ・・・そこで、峯岸みなみでなく、前田敦子にする辺り、ちょっと“大人の事情”的な厭らしさも感じてしまいました。
　（個人的には、宮田夕紀役の川口春奈が一番よかったのだけど・・・）

　これ、ＤＶＤにする時には、「マネジメント」の解説部分をもっと充実させて貰えないものでしょうか？
　今のままでは、「マネジメント」の解説としても、ＡＫＢ４８主演のアイドル映画としても、何とも中途半端な感じ。原作小説が起こしたイノベーションを再び起こす事は出来そうにありません。

　（６月８日）

（作品データ）

　■監督

田中誠　

　■出演

　川島みなみ　・・・　前田敦子

　宮田夕紀　　・・・　川口春奈

　北条文乃　　・・・　峯岸みなみ

（その他のキャスト）
　瀬戸康史　　池松壮亮　　鈴木裕樹　　西井幸人　　入江甚儀　　矢野聖人
　野村周平　　松島庄汰　　仲原舞　　内田明　　さいた☆まんぞう　　信江勇
　山本麻樹　　神谷成基　　西田尚美　　青木さやか　　石塚英彦　　大泉洋

　■コピー

私たちの青春は、一冊の本から始まった。 　

　■Ｌｉｎｋ

http://www.moshidora-movie.jp/index.html

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