もし高校野球の女子マネージャーが　
ドラッガーの『マネジメント』を読んだら

岩崎夏海
（ダイヤモンド社）

　これは、企業経営についての名著、Ｐ・Ｔ・ドラッガーの「マネジメント」の解説書として、その内容を紹介するスタイルで書かれた青春小説です。
　ところどころ、「マネジメント」の一節が引用されているので、堅苦しい印象を与えるかもしれませんが、これを除けば、これはごくごくオーソドックスな青春スポ根モノ。
　…まぁ、はらの好きなタイプのハナシですね。その意味では楽しめました。

　実際、都立校の弱小野球部が、主人公である女子マネージャー・みなみの意識改革による奮闘で、生まれ変わったような活躍を見せる…と言うのは、これは、この種のハナシとしては当たり前、冒頭でボロボロの敗戦をして…と言う所まで、全くの定石パターン。
　難病もののドラマを絡め、お涙頂戴にして来たのも、最近の青春ドラマとしちゃ、これまた当たり前のような構成。ちょっと、意外だったのは、恋愛要素が全くない事くらいでしょうか。
　この辺、これをビジネス書として使う事を意識しているのかなぁ…お笑いの要素が欠けているのも、そうした狙いがあるのかもしれません。
　（ただ、台詞がクサいのだけはどうにかして欲しいものですが）

　ただ、さすが「マネジメント」の解説書としちゃ、よくできています。
　何となく判ったような気分にもなるし、読後の印象も爽やかで、これはヒットするのも当然だなぁ、と納得しました。

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