「スナッチ」

　昨日は、やはり休日出勤だったんだけど、早めに上がって、今日はレイトじゃない時間のうちに映画観て帰ろ、と思ってみなとみらいに行こうとしたら・・・た、辿り着かないっっっ！
　（渋滞がヒドい）
　でもって、観るつもりだった「バカー・ヴァンスの伝説」には間に合わず、あーあ、とか思っていると、昨日から公開の「スナッチ」上映まであと１５分、といいタイミング。
　状況を聞いてみると、さすがに初日だけあって客の入りは悪くないのだけど、前から５列目に席が１個空いてる、との事で、そこで観る事にしました。

　これは、デビュー作「ロック、ストック＆トゥー・スモーキング・バレルズ」で注目され、昨年末には、あのマドンナと結婚したことでも話題のガイ・リッチー監督の最新作。
　「ロック、ストック＆トゥー・スモーキング・バレルズ」が、観た俳優たちに衝撃を与え、ブラッド・ピット他、ハリウッドの大物俳優が、日頃のギャラを度外視して出演を希望して来た、と言う事も話題になっています。

　アムステルダムで盗まれた８６カラットのダイヤ。
　それは、ロンドンの宝石商を経由し、アメリカへ渡る筈だったのだが、その情報を嗅ぎつけたロシア人武器商人が強奪を計画した事から、状況は混乱し、様々な人間を巻き込んでの大騒動となる・・・

　この映画、とにかく、展開のスピード感が凄い。
　状況はかなり輻輳し、きっちり説明しないと訳判らなくなるのですが、この映画は、スピードを重視し、キャラクターの魅力と勢いで押し切って行くのです。
　観客としては、まともな映画にすれば３時間以上、或いは数本の映画が出来そうなエピソードを２時間以内にまとめてみせた凝縮度と、そのスピード感に圧倒されるしかありません。
　（或いは、ついて行けずに呆気にとられて終わるしかない）
　しかも、物語の方は、一見、無関係そうなエピソードの羅列に見えながら、それが、ジグソーパズルのピースのように、きちんと噛み合い、後で、その事が納得出来ると言う巧妙さ。
　この脚本と、それをこうやって見せる演出は凄い、と思いました。

　登場人物も強烈な個性の持ち主ばかり。
　まぁ、割とまともに見えるのは、主役級の裏ボクシングのプロモーター、ターキッシュとトミーのコンビくらいで、後は、訛がヒドくて何を言ってるのか判らない、全身入れ墨だらけのボクサー（これがブラピ）、邪魔者は豚に喰わせて始末するギャングの大物、不死身のロシア人武器商人、弾丸を歯で食い止めるヤツ、運転の下手な”逃がし屋”、ユダヤ人のふりをしている宝石商、と、ここまで個性的だと、さすがにここまでブッ飛んだ映画でも、誰が誰だか判らなくなるような事はないです。

　巧妙な脚本と、スピード感溢れる冴えた演出、それに流行の映像テクニックを取り入れた華麗な映像、と、全身「新しい」感覚の映画です。
　この感覚をせわしなく感じるかも知れませんが、なるほど、リッチー監督のハリウッドを唸らせた才能にも納得出来る、「新世代」を感じる１本でした。

　（３月１０日　みなとみらい・ワーナーマイカルシネマズにて）

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