「アンブレイカブル」

　今日は、「アンブレイカブル」観て来ました。

　「シックス・センス」のＭ・ナイト・シャマラン監督の第２作。
　”新世紀のスリラー”などと言う宣伝文句、しかも主演も同じブルース・ウィリスと言う事で、「シックス・センス」のような映画を期待すると、これが、てんで違っているので、肩透かしを喰わされたような気分になる人もいるかも知れません。

　ニューヨークからフィラディルフィアに向かう列車で脱線事故が発生。乗員・乗客１３１人が死亡すると言う大惨事になるが、その中でたったひとりの生存者である、デビッド・ダンにはかすり傷ひとつない。
　そんな彼の元に、「これまでの人生で、君が病気やケガをした日数は？」と記された１通の奇妙な手紙が届く・・・

　そんな感じで思わせぶりたっぷりに始まったこの映画、内容は「自分の居場所」探しに苦悩する人間のドラマでした。

　主人公のデビッドは、大学のアメフトのスター選手でありながら、恋人との生活の為に、してもいない怪我を理由に引退し、今はスタジアムの警備員。
　そして、スターの座を捨ててまで選んだ平穏な家庭生活は、皮肉にもスター選手を捨てた、そのしこり故に上手く行かず、妻との別居を考えるようになっています。
　一方、ダンに「あること」を教える男、イライジャは、先天的に骨が弱く、怪我が絶えない生活。
　イライジャは、そんな苦痛に満ちた生に、何かの目的がある筈、と思いこんでいます。

　物語は、そんなふたりが出会うべくして出会い、そして、お互いに、納得が出来る「自分の居場所」を見出すのですが・・・映画は、ラストでひと捻り。
　ヒーローになったダンと、彼を見出し、導く役割を持ったイライジャに、重く、厳しい「業」を背負わせて映画は終わります。

　この物語、シャマラン監督自らが手掛けた脚本には５００万ドルもの値が付いたそうですが、どうも、それ程のものとは思えませんでした。

　自分の居場所がここではない、と感じる男。
　自分の生の目的が何なのか、何故、この世に生まれたのか、と悩む男。
　そんな２人が出会い、謎を解き明かすと言う展開自体はいいのですが、そこに出て来たのが「コミックス」ですからねぇ・・・
　それが、本当にイライジャが言うように、世界の真理を書き記したものなのか・・・或いは、ただのアメコミ・マニアの妄想なのか、それが、はっきりしない辺りにちょっと不満。
　その為に、この映画、世界の謎を解き明かすものなのか、ひとりの狂人の妄想に巻き込まれた中年男の物語なのか、その辺りが中途半端になってしまったように思えました。

　この映画で印象的なのは、主演のブルース・ウィリスよりも、イライジャを演じたサミュエル・Ｌ・ジャクソンでした。
　しかし、黒人で障害者と言うイライジャを、「悪」にしてしまったのは、映画表現として、よく許されたものだと思います。
　これが許される辺りは、「シックス・センス」を当てたシャマラン監督の「勢い」なんでしょうか？

　そう言えば、「シックス・センス」に続き、シャマラン監督、映画にも出演してますね。
　（ヤクの売人と間違えられてボディー・チェックされる人の役です）
　どうも、顔出しが好きみたいですね。(^^;

　凝った映像。思わせぶりな演出も、「シックス・センス」とは違って有効には思えず、煩わしく感じられる事の方が多かったですね。
　全体的に何となく期待はずれ。
　やはり、大ヒットの後の２作目と言うのは、難しいんでしょうねぇ。

　（２月２５日　みなとみらい・ワーナーマイカルシネマズにて）

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