ＧＡＮＴＺ
前編
これは、週刊「ヤングジャンプ」誌連載中の奥浩哉の同題コミックの実写映画版。
謎の球体“ＧＡＮＴＺ”に召還された「一度死んだ」人間たちと謎の敵“星人”との戦いを描くＳＦアクションです。
地下鉄のホームで偶然再会した、幼なじみの玄野計と加藤勝。
２人は、線路に転落した酔っ払いを救出した直後、電車にはねられてしまう。死を覚悟した２人だったが、気が付くと見知らぬマンションの一室にいた。
そこには、同じように“死んだはず”の人々が集められ、部屋の中央には大きな黒い球体が置かれていた。
やがて、音楽と共に球体の中から出て来たのは、見慣れぬ武器と各自に準備された黒いスーツ。
そして、“倒すべき敵”を指示され街中に送り出される。そこで出会った“敵”とは…
まずは“星人”との闘いを３度繰り返し、特異な世界観とルールを叩き込む、と言うのが、この「前編」の役割でしょうか。
謎めいた雰囲気、レベルの高い特撮、そして豪華な、しかもしっかり演技の出来るキャストと、見所は多く盛り込まれてはいるのだけど、見終わった印象としては、長い予告編を見させられたような物足りなさがありました。
（印象に残るのは、夏菜の巨乳と尻ばかり…）
アクションシーンでは、グロいとさえ言える残酷描写、戦闘シーンでの女子供も関係なしの“敵”の容赦なさ、と言う部分部分に見るべきものはあるのですが、それを繋げる演出が決定的に悪い。
ひとつひとつのシーンが執拗に長く、しかも、場面転換、視線転換が下手で展開が単調。どうにも冗長に感じられてしまいます。
（この辺り、複数の視点の切り替えを上手くやる事で、全体も判るしテンポもよく感じられるはず）
特に終盤、やたらとお涙頂戴の感傷シーンを盛り込み、しかも、その最中、敵も律儀に攻撃を差し控えるなど、理解出来ない演出に、いささか白けてしまいました。
また、冒頭の地下鉄でのエピソードを始め、リアリティのない描写が多過ぎるのもがっかり。
とにかく、映画としての出来がいいとは言えません。
こうして築き上げたルールを崩し、謎を解いて、広げた風呂敷を畳む事が出来るのか…後編に期待、と言う所だけど・・・この出来では果たして…？
（２月３日 横浜 相鉄ムービルにて）
（作品データ）
■監督
佐藤信介
■出演
玄野計 ・・・ 二宮和也
加藤勝 ・・・ 松山ケンイチ
岸本恵 ・・・ 夏菜
（その他のキャスト）
吉高由里子 本郷奏多 千阪健介 白石隼也 小松利昌
落合モトキ 小林一英 市川千恵子 春名柊夜 Merii
古澤裕介 土平ドンペイ 玄覺悠子 若葉竜也 長江英和
五十嵐翔 早川恭崇 柴田愛之助 橋本まつり 浅野和之
田口トモロヲ 山田孝之
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なぜ、戦うのか──。
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