パーマネント野ばら
これは、西原理恵子の原作を、菅野美穂主演で映画化したもの。
高知の小さな漁師町の１軒だけの美容室「パーマネント野ばら」。
離婚して娘と一緒に実家に帰って来たなおこと、彼女の母、まさ子が切り盛りする、町で一軒のそのパーマ屋は、男への愚痴をこぼす女たちの憩いの場になっていた。
店を手伝いながら子育てに専念するなおこには、人に言えない秘密があった・・・
四国の小さな漁師町の日常を丁寧に描き、しょーもない日常の中、したたかに、逞しく生きる女たちを時にコミカルに描き、更に寂しさや孤独を抉り出す・・・その物語は悪くないものの、これでは、漁師町からとうとう出られなかった、もうひとつの「女の子ものがたり」ではないか、と。確かに、いい話ではあるけれど、同じような話をまた映画にするのもなぁ・・・と思っていた終盤、映画はそれをひっくり返します。
さすが、吉田大八監督、人が悪い。
そうか、だから菅野美穂か。
なおこ、実は狂ってました、と言うのがこの映画の正体・・・って、これって「シャッター・アイランド」じゃないか。
それで、今までの物語が一気に印象を変えてしまう壮絶さ。
しかも、なおこが狂っている事を、みんな「知っている」と言う展開にはやられました。
それにしても、８年ぶりの映画主演の菅野美穂、前の「Ｄｏｌｌｓ」でも、狂気を演じていましたが、この映画の静かな壊れっぷりも凄い。
「わたし、狂ってるのかな」
の台詞で、映画を完全にひっくり返し、ラストカット、娘の声で狂気の世界から現実に戻る様を表情だけで演じ切ったのには、ゾクリ、と来ました。
この演技、正に“狂気の女優”菅野美穂の本領発揮。
「シャッター・アイランド」のディカプリオなど、足下にも及ばない、その演技力には感嘆しました。
（月日 にて）
（作品データ）
■監督
吉田大八
■出演
なおこ ・・・ 菅野美穂
まさ子 ・・・ 夏木マリ
（その他のキャスト）
小池栄子 池脇千鶴 本田博太郎 加藤虎ノ介 山本浩司
ムロツヨシ 霧島れいか 汐見ゆかり 田村泰二郎 畠山紬
佐々木りお 佐藤麻里絵 木村彩由実 平田伊梨亜 町野あかり
ミヤ蝶美 嶺はるか 岡部幸子 路井恵美子 宇崎竜童
江口洋介 西原理恵子
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「ずっと好き」はどこにもないから 私は毎日、小さな嘘をつく──。
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