サマーウォーズ
SUMMER WARS
これは、「時をかける少女」で注目された細田守監督の新作アニメ映画。
細田守については、「時かけ」の時に、「今更注目なんて、６年遅いよ」と思っていました。
その注目すべき作品、２０００年製作のアニメ映画「デジモンアドベンチャー／ぼくらのウォーゲーム」のリメイクと言うか、拡大再生産版がこの映画です。
勿論、完全オリジナルストーリーですが、その源流には「ぼくらのウォーゲーム」があります。
細田守監督に最近になって注目している人は、是非、この機会に「ぼくらのウォーゲーム」も観て欲しいと思います。
今回の映画は「ぼくらのウォーゲーム」の仮想現実アクション路線に、「時をかける少女」の甘酸っぱい青春ドラマが組み合わされた、細田監督にとってのこれまでの集大成となる作品なのです。
主人公は、数学オリンピックの日本代表に、惜しくもなり損ねた高校２年生、小磯健二。
夏休みのアルバイトとして憧れの先輩、篠原夏希の田舎である長野の実家行きに同行する事になった。当初の名目は荷物運びなど、と言うことだったのだが、健二はそこで夏希の婚約者として一族全員に紹介されてしまう。
翌朝、目が覚めると大変なことが起きていた。全世界で１０億人が利用しているというネットサービス「ＯＺ」がハッキングされ、その犯人が健二と報道されているのだ。
何者かが健二のアカウントを盗み出し、健二に成りすまして「ＯＺ」のシステムに侵入したのだ。健二はゲストアカウントを取得して「ＯＺ」にログインするが、そこで見たのはとんでもないバケモノだった・・・
盆休みに親戚一同が集うと言う日本の原風景とも言える生活空間と、見知らぬ者同士がアバターを通してコミュニケーションすると言う電脳空間。
手で描かれた２次元のアニメと、電子データで構築された３Ｄ・ＣＧ。
相反する要素をひとつの作品に押し込み、そして融合させる力技には感心するばかりです。
物語の方は、案外オーソドックスです。
「ぼくらのウォーゲーム」では子供たちがネット内のモンスターと戦いました。今度の映画では、敵は同様にネット上のモンスターなのだけど、こちらは建二と、陣内一族老若男女さまざまな人間が、それぞれの得意技で戦う話になっています。
主人公の健二が「数学オリンピックの日本代表候補」だったように、他の登場人物たちも職業や特技を活かし、それをまた惜しげもなく使い切る。その、怒濤の展開は、これまた「ぼくらのウォーゲーム」にもあったのだけど、細田守の得意とする所でしょう。
栄おばあちゃんの「人脈」。１３歳の中学生、佳主馬の「超絶ゲームテク」、佳主馬の要請で太助おじさんが手配した「スーパーコンピューター」、その電力供給の為、万助おじさんは、新潟から自分の漁船を運び、陣内家の池に浮かべます。
主人公の健二が土壇場で見せる、鼻血出しながらの超人芸にもびっくり。これがクライマックスとなるアクションシーンは、正に前代未聞でしょう。
戦うとなったら最後まであきらめないこと。そして、それを支えるのは人類最古のネットワークである家族の絆だと言うこと。
繋いだ手の温もりと、決して切れない家族の繋がり。
これを説教臭くなく描き切る細田守、さすがです。
（８月５日 ＷＭＣつきみ野にて）
（作品データ）
■監督
細田守
■出演
小磯健二 ・・・ 神木隆之介
篠原夏希 ・・・ 桜庭ななみ
陣内栄 ・・・ 富司純子
陣内万助 ・・・ 永井一郎
陣内侘助 ・・・ 小林隆
陣内太助 ・・・ 斎藤歩
池沢佳主馬 ・・・ 谷村美月
（その他のキャスト）
横川貴大 信澤三恵子 佐々木睦, 田中要次 谷川清美
中村橋弥 玉川紗己子 山像かおり 桐本琢也 板倉光隆
田村たがめ 金沢映子 高久ちぐさ 清水優 安達直人
仲里依紗 諸星すみれ 太田力斗 皆川陽菜乃 中村正
■コピー
「つながり」こそが、ボクらの武器。
■Ｌｉｎｋ
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