「ダークシティ」

　”異端の映像作家”、アレックス・プロヤス監督の最新作、「ダーク シティ」を観て来ました。
　一部では、「「トゥルーマンショー」より面白い！」と言う評もある作品なのですが、なにせあっちが「陽」ならこっちは「陰」。
　公開も、正月映画との”繋ぎ”として２週間程度しか上映されないようですね。

　今日は、伊勢佐木町のオスカーに行ったのですが、上映５分前に駆け込むと、観客は１０人に満たず・・・
　しかし、その内容は・・・

　・・・５０年代アメリカと思しき街。
　深夜、１２時になると時が止まり、人々はその場で昏睡状態に陥る・・・
　思いっきりミステリアスな出だしなのに、オープニングのモノローグでいきなりネタバレなんだもんなぁ・・・(^^;
　まぁ、そんなこともあったのと、謎だらけ、と言うかわからないコトだらけ（何せ主人公は記憶を喪失している）の展開で、いまいちノれなかったのですが、世界がその姿をかいま見せ、主人公が、それを追い始める後半の展開はなかなかスピーディでワクワクしながら観ていました。(*^^*)

　この映画、セットは安っぽいし、ＳＦＸもＣＧ使っているコトが見え見えで、全てが作り物めいているのですが、それを逆手に取っていますね。
　（同じく低予算ながら、”リアル”に、かつ格好よく見せていた「ブレードランナー」とは対照的です）
　実際、映画の中で、街は（と言うか世界は）作り物なんですから。(^^;
　
　しかし、「ビジュアルがスゴい」と評されているようですが、どうも、プロヤス監督は「うる星やつら・２　ビューティフルドリーマー」にインスピレーションを受けて製作したそうなので（それだけでなく監督は日本のアニメの影響が強いような・・・(^^;）、どっかで見たコトがあるようなカットがちらほら。

　クライマックスシーン、”世界”の本当の姿である、宇宙空間に浮かぶ円盤状の街・・・これなど「ビューティフルドリーマー」での亀の背中に乗った友引町そのもの。(^^;
　その後、街の外壁である、ビルの壁面やパイプから水が溢れ出して、街の周りに海が出来て行く・・・と言うのも、覚えない？(^^;
　他にも、覚えのない殺人容疑で刑事に問いつめられている主人公が、世界の不条理さを訴えるのに
　「太陽を見たのはいつのことだ？
　　昨日か、一昨日か、それともこの街には太陽などないのか」
　と問いかけるシーンに、さくらさんと温泉マークの会話を思い浮かべてしまったのも・・・そうか、やはりそう言うコトだったのか。
　大体、自分が何者かが判らない、世界のありようも判らない、その中で、野良犬のように、自分の居場所を探し求めて街をうろつくなんて序盤の展開は、押井ワールドそのものだしね。

　そう言えば、ビルがにょきにょきと生えて行く描写もあったなぁ。
　（これは別のアニメだけど(^^;)

　まぁ、凝った映像、序盤の謎だらけの展開、中間のサスペンス、サイキックアクションもあったりして、それで最後は、爽やかに締める。
　ビジュアル面含めれば、ＳＦとしての出来は「トルゥーマンショー」よりは上のように思いますね。
　そう思うと、あの客の入りはちょっと腑に落ちないなぁ。

　（１２月１３日　伊勢佐木町オスカーにて）

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