ＡＶ女優について
■ＡＶ女優とは？
アダルトビデオ（Ａdult Ｖideo。略称AV）に出演する女優の事である。
ちなみに、ＡＶは、成人映画（ピンク映画）やポルノと異なり、その出演女優も、これらと異なるものである。
ＡＶ女優には、女優の顔と名前で魅力をアピールする単体女優と、女優の魅力ではなく作品の内容（企画）で売るタイプの作品（企画もの）に出演する企画女優との２種類がある。
（２０００年頃から企画女優の中にも単体女優並みの人気を持つ例が見られる様になった。これをキカタン（企画単体）と呼ぶ）
ほとんどの女優はAV事務所（AVプロダクション）に所属しており、出演料を折半する事でマネージメントされる立場にある。
ＡＶ女優は、AVメーカー（制作会社）から出演依頼を受ける事で初めて仕事（撮影）となる。
そのため、新人AV女優は仕事を得られる様に事務所のマネージャーと共にメーカー回りをしてからようやく仕事が得られる。このメーカー回りの事を業界用語では「面接回り」と言うが、一般的に言えば「オーディション」である。
近年のAV女優は、過去と比較すると容姿の平均レベルが比較にならない程上昇している。
ＡＶ黎明期（２０００年以前）まではタレントに匹敵する容姿なら内容もソフトで許され、性交も擬似の場合が多く、イメージビデオに演出を加えた程度の内容の作品でも充分なセールスを上げていた。
しかし、最近では一般タレントに匹敵するルックスを持ったAV女優はざらになり、一般のアイドルを凌ぐ容姿のAV女優も数多くなってしまった。
それに伴い、現在では一線級のAV女優でも、性交を求められるのは勿論、以前より過激な内容の作品（様々な変態的プレイを取り上げた作品など）に出演する事を求められる様になってしまった。
AV黎明期には実際に性交は行っていない「擬似性交」が多かったが、最近ではほとんどのAVでコンドームを付けて性交（本番）を行う様になっている。
AV女優と似た存在として「ポルノ女優」というものがあるが、日本でポルノ女優という場合は映画館で公開される成人映画に出演する者を指し、特に１９７０年代から１９８０年代、第１次ＡＶバブル以前に隆盛を見せた「日活ロマンポルノ」の出演者を指す。
現在、日本のＡＶソフト供給の大半はＤＶＤによる。
ＤＶＤの一般化による作品の長時間化（ビデオ時代は一般的に1本４５〜６０分、たまに９０分の作品あり→ＤＶＤでは1本９０分〜２時間、長いと３〜４時間以上）も相まって、AV女優を取り巻く環境は年々過酷になっている。
その分、プロ意識の高い女性ばかりが主流となっている。過去のアルバイト感覚では通用しない。
性風俗産業としても、もっとも厳しいジャンルのひとつである。
・デビューから引退まで
AV女優は、街頭でスカウトされる場合と、AV事務所が行うAV女優の募集に自ら応募する場合が半々と言われる。
トップクラスになれば出演報酬が高いため、安易に応募する女性も少なくないが、高収入を得られる単体女優の場合、選考基準が非常に厳しい。
企画女優が９５％を占めており、高収入を得られる単体女優は５％程度に留まるらしい。
芸能界からアイドルや若手芸能タレントとして失敗した女性が流れ着き、AV女優となる場合もある。
この場合、件の女優の出演作品には「芸能人デビュー」などと銘打たれる。一方、AV業界から芸能界への転向は甚だ困難である（後述）。
AV女優としての寿命は、超人気女優であれば１０年近くになる大物もいるが、ほとんどが数年である。
それ以上となると若手に押されて飽きられるか、「家族や友人にばれた」などの理由、あるいは、ストリップダンサーや風俗業などへの転職により、引退するケースがほとんどと見られる。
また、デビューから１年程度経つと、様々な変態的プレイを主眼に据えたものなど、デビュー当初よりも過激な内容の作品への出演依頼が増えて来る。この種の作品への出演の決意が決まらず、何度も出演を躊躇しているうちに出演依頼が来なくなり、事実上の引退に追い込まれる者も少なくない。
しかし、中には３０代以降デビューして人気を集める女優も例外的に存在する（いわゆる熟女系女優）。
２〜３年と長続きした人気の単体女優の作品数は、主演作品で５０本程度、共演や脇役出演を含めると１００本近くになる成功例もあるが、ほとんどの場合は毎月１本、多くて月２本ペースで撮影されるので、そうそう多くの作品に出演出来る訳でもない。
詳細は後述するが、単体女優でも一部人気女優を除けば、手取りは１本、１００万円に満たずで、そう考えると、風俗業としてそう稼げる職種でもない。（風俗嬢で、月に１００万稼ぐ例は決して少なくない）
引退後はストリッパー、ソープランド、ヘルスなどの性風俗産業へと転じて行く者も少なくないが、主婦やＯＬなど、普通の生活に戻ってしまう事が多い。
・一般芸能界との関連
ＡＶ女優は、一般のテレビ局が制作するドラマ番組などに出演依頼が来る事もあるが、そのほとんどは「裸体を見せる必要性」から、サスペンスドラマにおける全裸死体の役や入浴シーンのエキストラ役、その他、時代劇での脱ぎ担当の脇役の遊女の役などとなっている。
これは、Ｖシネマにも共通の傾向だが、こうした、「裸」だけを期待される扱いに納得出来ず、「ＳＭもレイプもＯＫだが、Vシネマの出演だけはＮＧ」と言うAV女優も多い。
しかし、だからこそ一般芸能人女優が嫌がる役をこなす点で、テレビ業界にとっては貴重な存在である。
AV女優から芸能人へと転身し、広く知られる芸能人として成功したのは飯島愛しか例がなかった。
（雨宮時空子（墨田ユキ）はＡＶ引退後、女優に転身。日本アカデミー賞を受賞するに至ったが、一般的な知名度で言うといまひとつであった）
だが、現在では、ＡＶ女優と言う職業が社会的にも認知され、タブー視される事が少なくなっている。
現に、及川奈央は、特撮番組「炎神戦隊ゴーオンジャー」にレギュラー出演の後、ＮＨＫ大河ドラマ「龍馬伝」に出演。“お堅い”ＮＨＫまでが、ＡＶ女優歴を不問としたことで、今後、才能あるタレントが出て来ればどうなるか判らない状況である。
また、海外に目を転じれば、夕樹舞子は、台湾ではアイドルをも凌ぐ国民的人気を獲得。蒼井そらは中国で大人気で、「最も有名な日本人」となっており、今後、ＡＶ女優から、国際的なタレントが生まれる可能性もある。
・風俗産業との関連
収入面だけで割り切って考えるなら、AVで得た知名度を活かす手段として、AV出演後に、ソープランドなど性風俗業に転職するケースも少なくない。
どの世界でもそうだが、ソープランドやストリップなどの性風俗業でも、トップクラスになるとしたら、その為の努力は並大抵のものでは済まされない。
ところが、ＡＶ女優が在籍している、と言うのは、店にとっても大きな宣伝材料であり、膨大な指名が殺到し、風俗の生え抜きトップすらも凌ぐケタ違いの収入を得る事もある。
そうした傾向から、風俗産業において、AV出演経験は、ある種のステータスと考えられている。
多くの職種では、「元ＡＶ女優」と言う肩書きはハンデにしかならないが、その肩書きを活かす為の再就職先としては悪い選択ではないのであろう。
■ＡＶ女優の分類
「企画女優」
ＡＶメーカーとの専属契約がなく、作品ごとに出演を決める女優を企画女優と言う。
企画女優は、名前でアピールする事が出来ず、場合によっては作品に名前すら出ない。ユーザーにアピールするのは、作品の企画（内容）である事から、このように呼ばれる。
こうした企画女優になる人の特徴としては、以下の３つが挙げられる。
・スタイルは良いが、ルックスに難がある人
・AV出演を知人に知られたくない人
・アルバイト感覚での出演（１〜３本程度の契約、月１回程度の出演など）
企画女優としての出演には、名前を隠す、顔と名前の両方を隠す、という２種類の出演方法がある。
実際に、知名度の高い単体女優（少数）に比べて、膨大な人数が企画女優としてＡＶ事務所に登録している。
その中には、副業としての出演者も多くいる（ＯＬ・主婦・看護婦・ファッションヘルスやソープランドの風俗嬢など。最近では教師や公務員など、“お堅い”仕事の女性も少なくないそうだ）。
企画女優は出演料が非常に安い。相場で１本１０万円と言われていたが、現在は５万円も頻繁にあるらしい。
反面、セールス数を問われる単体女優と違って、実績が問われる事はなく（企画モノビデオが売れないのは女優のせいではなく、企画の問題）引退の時期がない上、一般誌などで宣伝されないのでAV出演を周囲に知られる可能性が低く、その気があれば仕事を続けられると言われている。（ただし、出演を続けられる保証はない）
逆に、AV女優だけでは食べていけないので、副業を続けながらチャンスを待つAV女優も多い。
近年では企画女優が注目される様になったが、その背景としては、AV界にインディーズメーカーのブームが起きた事が挙げられる。つまり、インディーズメーカーの手がける企画作品は、ソフト販売が中心であり、その制作本数も少なく、出演しても周囲にバレる危険が低い。
そのため、インディーズ作品には若くて容姿にも恵まれながら周囲にバレるのを恐れる女優が数多く出演する事になり、容姿では単体女優にも劣らない企画女優が多数生まれる事になったと見られる。
企画女優の中でも単体女優並みに人気が出て、オファーが殺到し多数の作品に（全く無制限で）出演する場合がある。
この様な女優をキカタン（企画単体女優の略）と呼ぶ。
「企画」のルックスはピンキリだが、「キカタン」と「単体」ならルックスに差はない事が殆どである。
キカタン女優のギャラは、企画と単体の中間の金額である。しかし、単体の場合、契約により制作会社ごとの出演作を月２本以内と制限されるので、最も稼げるのはこのキカタンだと言われている。
出演本数が多かった例を上げると、
・朝河蘭：１年１０ヶ月で５１６本（月２３．５本）
・桃井望：１年６ヶ月で１６０本（月 ８．８本）
・長瀬愛：３年で１２０本（月 ３本）
・笠木忍：６年で２００本（月２．７本）など。
これら４名に共通するのは、２００１年からの第２次ＡＶブーム全盛期に活躍した点である。この４名の活躍によってキカタンと言う新たなジャンルが誕生した。
（それにしても朝河蘭の事例は異常である。堀口奈津実が月に１８本撮影した事があると言うが、彼女はその後、過労で倒れている）
このブームが去った後の現在では、
・乃亜 ：３年で３００本（月８．３本）
・立花里子 ：４年で１７０本（月３．５本）
・紅音ほたる：４年で１３０本（月２．７本）
あたりが、相場となるであろう。
「単体女優」
AVメーカー（制作会社）の「面接」に合格し、所属事務所がＡＶメーカーと専属契約を結び、契約メーカーの作品にしか出演しない女優を単体女優と呼ぶ。
一般的にデビュー３本契約が殆どで、その３本目で引退する単体女優が少なくない。
通常、取り引き上の売値では２〜３百万円と言われ、そのうち、１／３が女優の取り分となる。（あとは事務所が１／３、スカウトマンが１／３）
人気女優の場合、売値は５百万円に到達する（これまでに確認された最高額は樹まり子の再デビュー時の６本で３千万円）。
継続契約の場合、スカウトマンの取り分は減少するので、女優の取り分は増えるが、それでも１本あたり１００万円を越えるのは、一部の人気女優だけだと言える。
例外的にセールス本数にそった歩合制（ロイヤリティー制度）も存在すると言われるが、メーカー側にそこまで面倒を強制する契約を結べる単体女優は蒼井そら以外に確認されていない。
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