バット・ムービー・アミーゴスの
日本映画
最終戦争
2007-2008年版

柳下毅一郎＆江戸木純＆クマちゃん
（洋泉社）

　これは、「映画秘宝」に連載されていた「日本映画縛り首」をまとめ、単行本としたもの。

　２００９年現在、日本の映画は年に４００本以上が製作される、“邦画バブル”と言う好況を迎えています。
　ほんの１０年ほど前まで、「邦画は退屈でつまらない」と言われ、スタジオ・ジブリのアニメ以外は観るものなし、とさえ酷評されていた邦画は、今や興行成績でもハリウッド映画に対抗、トップレベルの人気作は、それをも凌ぐ状況となっています。
　でも、それは、邦画は素晴らしい、と手放しで賞賛出来るような状況なのでしょうか？
　実際、年に４００本もの映画が製作され、上映される状況の中、相当の好成績を上げている、と言う作品も穴だらけであり、その裏には様々な問題を抱えています。
　この本は、そうした今の邦画の現状を危惧するものです。
　失敗作についても、豊かな知識と確かな見識で、その原因を分析していますし、香港映画の成功、ハリウッドの凋落なども解説されていて面白く、ためになります。

　残念なのは、ウェイン町山氏が不在のため、ファビュラス・バーカーボーイズの「映画欠席裁判」のような、爆笑を誘う、“映画漫才”にはなっていないこと。
　歯に衣着せぬ、痛烈かつ容赦のない批判は時に痛快ですが、もうちょっと笑いも欲しかったように思います。

　この本で引きずり出され、断罪される邦画は５８本。
　そのうち、３７本を、はらも観ていますが・・・うーむ。
　確かに、邦画をよくしようと思えばこその諫言であり、そこに遠慮はいらないのだなぁ。
　こうして、いろいろ書いているけれど、これからは、もうちょっと思った事を書いてみようと思ったりもしました。

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