シンドバッド
空とぶ姫と秘密の島
これは、古くから語り継がれる奇想物語集「千夜一夜物語」の中でもよく知られるシンドバッドの冒険譚をアニメ映画化したもの。
製作は、あの「アルプスの少女ハイジ」や「母を訪ねて三千里」などで知られる「世界名作劇場」シリーズを手掛けた日本アニメーションが手掛け、同社の創業４０周年記念作品として製作されたものです。
アラビアの港町で母親と暮らす少年シンドバッドは、父と同じ船乗りとなりまだ見ぬ世界に旅立つ事を夢見ていた。
そんな彼の前に空駆ける馬に跨がった少女が舞い降りる。
少女は、空飛ぶ絨毯を率いる、鉄の馬に跨がった男に追われていて……
この映画、３部作の第一部、と言う事ですが、その上映時間は５０分ほど。要するに３部作通して２時間の長編映画１本分の物語、と言うことで、これは対象となる低年齢層を意識した結果でしょうか？
お馴染みの物語ではありますが、往年の「世界名作劇場」を思わせるアニメ作画（作画監督は「となりのトトロ」の佐野好春とか。なるほど）と、美しい映像には好感を持てます。
ただ、残念だったのは、その脚色。
下敷きにされたのは、明確に「天空の城ラピュタ」で、少女が空から落ちて来る事に始まり、少女の持つ、魔力を持つペンダントや、悪党側のコスチュームがほぼ空賊の服と同じ、とか丸ごと持って来てしまっているのはどうかと思うし、「ラピュタ」の“海版”として作られた「ふしぎの海のナディア」まであるので、正直「またか」と思ってしまいました。
また、丁寧に作られているが為に露呈した、考証とリアリティのなさ、それにその見せ方がなっていないのも気になりました。
これを見ると、「世界名作劇場」（特に「ハイジ」）の大人をも引き込むリアルな描写は、宮崎駿に依る所が大だったのだなぁ、と今更ながら思わされます。
丁寧に、真面目に作られたものだと言うのは判るのですが、それだけに「ラピュタ」の出来の悪い二番煎じのようになってしまった仕上がりが残念に思いました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
宮下新平
■出演
シンドバッド ・・・ 村中知
サナ ・・・ 田辺桃子
アリ ・・・ 永澤菜教
（その他のキャスト）
宮澤正 青山穣 鹿賀丈史 薬師丸ひろ子
■コピー
僕たちは、世界のどこにだっていける。
■Ｌｉｎｋ
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