７つの贈り物
神は７日で世界を創った
僕は７秒で人生を叩き壊した
これは、ウィル・スミスが「幸せのちから」のガブリエレ・ムッチーノ監督と再び組んで製作したヒューマンドラマ。
“７つの贈り物”を巡る感動作、と言う触れ込みですが・・・
嗚咽しながら、モーテルの部屋から救急車を呼ぶために電話をかける男。
「急いで救急車を寄こしてください。自殺した人がいるんです。それは・・・僕です」
彼の名はベン・トーマス。彼はなぜ自殺しようとしているのか。なぜ自殺の前に電話をかけたのか。なぜ彼は、自殺しなければならないのか。主人公の謎めいた行動に始まる物語は、その少し前に時間軸を遡り、その謎を解き明かして行きます。
ファンタジーじみた邦題を与えられた映画ですが、映画の内容はシリアスで重いものです。
しかも、物語は謎だらけで始まり、それを少しずつ明かにしていくミステリー仕立てになっています。
とは言え、その「謎」自体は、映画前半で何となく予想はついてしまいます。
でも、釈然としない部分はあります。
主人公の置かれた状況、そして、主人公が起こした行動の理由も見えて来ますが・・・この映画は、主人公の動機の由来をはっきりと描かないのです。
これが、ファンタジーなら、感動的な物語になるのでしょうけど、現代に生きる我々にとって、主人公の行動は道義に適っているとは言い難い部分があるのです。
（特に、自殺を「罪」と考えるキリスト教文化圏であれば尚更でしょう）
主人公、ベンの行動には、キリスト教にもある「贖罪死」が重ね合わされています。
罪を贖って死す、と言う行為。
恐らく、そこに持って行く事で、製作者は、主人公の自殺と言う行為を正当化しようとしたのでしょう。
であればこそ、そこに至る葛藤、そうしなければならない程、自分を追い込んでしまった主人公の心理に踏み込まなければ行けなかったように思うのです。
もっとも、脚本にはこうした問題があるものの、演出は繊細で隅々まで神経が行き渡り、ウィル・スミス始め、俳優の確かな演技もあって、映画としての完成度は高いです。
主人公の「動機」が何処から生じたのか、と言う問題も、「そのこと」と問題も含めて「感動」と言うオブラートでくるんで観客に手渡している為に、気づかない人が多いのでは、と思います。
でも、これにはすっきりしない人が少なくないんじゃないでしょうか・・・？
PS
ネタバレになってしまうので、ここで具体的に挙げるのは避けますが、どうも贈り物が７つよりも多いんじゃないか、と。
あ、でも、７つの中にあれは含まないのかなぁ・・・
（２月２２日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
ガブリエレ・ムッチーノ
■出演
ベン・トーマス ・・・ ウィル・スミス
エミリー・ポーサ ・・・ ロザリオ・ドーソン
（その他のキャスト）
ウディ・ハレルソン バリー・ペッパー マイケル・イーリー コナー・クルーズ
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