禅
ＺＥＮ
| 「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり」 |
これは、「禅」の教えを日本に広めた道元禅師の生涯を描く映画です。
鎌倉時代。
仏道を極める為、師を求めて宋を訪れていた道元は、青年僧・寂円の導きで天童山の住職、如浄禅師と出会い、彼の下で修行を積む。
やがて悟りを得た道元は帰国、坐禅こそ仏道の正門であるとする「普勧坐禅儀」を著し、「只管打坐（しかんたざ）」の教えを広めようとするが・・・
この映画は、２時間余りの時間の中で、曹洞宗の開祖である道元禅師の生涯ばかりか、彼の説いた禅の教えを描きます。
この難題に、高橋伴明監督は果敢に挑み、そして見事に描き切っています。
確かに、映画的盛り上がりに欠け、さらっと流してしまう描写が多く、物足りなくもあるのですが・・・確かにこれだけの内容、いちいち盛り上げていては映画はまとまりません。
そして、道元を演じた中村勘太郎がまた素晴らしい。立ち居振る舞いは勿論、澄んだ瞳、揺るがぬ意志、そして凛とした声・・・正に、「禅」の精神を体現するに相応しい演技です。
勿論、その内容も素晴らしいものです。
これを、宗教プロバガンダ、と色眼鏡かけて見る人もいるかもしれませんが・・・そうした目で見るのが勿体ないものと思います。
この映画で描かれる、と言うか、そもそもの「禅」の思想と言うのが、ありのままに全てを受け入れ、そして、我執を捨て去る、と言うシンプルで力強い人生観そのものであるからです。
勿論、それは難しい。
しかし、これこそが、これからの世界を救う思想なのかもしれません。
いつも映画を観る時は、だらっとして観ているのですが、この映画に関しては、思わず引き締まり、姿勢を正して観ていました。
観終わった後には、感謝の想いで思わず手を合わせてしまいました。
（１月１８日 横浜 相鉄ムービルにて）
（作品データ）
■監督
高橋伴明
■出演
道元 ・・・ 中村勘太郎
おりん ・・・ 内田有紀
（その他のキャスト）
藤原竜也 テイ龍進 高良健吾 安居剣一郎 村上淳
勝村政信 鄭天庸 西村雅彦 菅田俊 哀川翔
笹野高史 高橋惠子
■コピー
喜びも苦しみも・・・。あるがままに。
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