ラースと、その彼女
これは、「リアルドール」に恋してしまった、孤独な青年を取り巻く、ハートウォーミングストーリー。
小さな田舎町で、“Ｍｒ．サンシャイン”と皆に親しまれている青年ラース。
心優しいラースだけど、極端にシャイで他人と触れ合うのが苦手。同居している兄夫婦を避けるようにガレージで寝起きし、好意を寄せる同僚の女の子にも素っ気ない態度。
そんなラースがある夜、ネットで知り合ったという女の子を兄夫婦に紹介する。
ビアンカという名の彼女は、「リアルドール」だった・・・
「リアルドール」とは、アメリカ製の高級ラブドール（ダッチワイフ）のこと。
その、ビアンカの登場する最初のシーンは、さすがに笑いを誘いますが、これは、決してコメディではなく、心温まるヒューマンドラマです。
ビアンカは、「空白」。“彼女”を通じて、ラースは、そして周囲の人々は自分の心を知る事になります。
ビアンカが街の人に受け入れられるにつれ、ビアンカはラースだけのものでなくなり、独立した「人格」を持ち始めます。
そこにラースは苛立つけれど、それは人が人である為に当然のこと。
誰かだけの「人」などいないし、人は、自分の思うようにしてはくれない。
ラースは、そうして、人と触れ合うことの痛みと喜びを学んで行きます。
人々と触れ合い、共に喜び、楽しむ事を知る度、リアルだった、ラースの中の「ビアンカ」がその実在性を次第に失って行きます。その様子に、主人公の心の成長を描き、最後に、ラースはある決断をするのです。
この映画、ラースも含め、悪人がひとりもおらず、みんないい人ばかり。
さすがに不自然さを感じなくもないけれど・・・それも、この物語ではいいでしょう。
ラースと、その彼女を見守る、街の人々の気持ちの暖かさには思わず、目頭が熱くなります。
（１月２日 渋谷 シネクイントにて）
（作品データ）
■監督
クレイグ・ギレスピー
■出演
ラース ・・・ ライアン・ゴズリング
カリン ・・・ エミリー・モーティマー
ガス ・・・ ポール・シュナイダー
（その他のキャスト）
ケリ・ガーナー パトリシア・クラークソン ビアンカ
■コピー
彼が恋に落ちたのは・・・等身大のリアルドール!
■Ｌｉｎｋ
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