地球が静止する日
THE DAY THE EARTH STOOD STILL
これは、１９５１年公開の名作ＳＦ映画「地球の静止する日」をリメイクしたものです。
亡き夫の息子、ジェイコブと暮らす地球外生物学者のヘレンはある夜、政府から突然の呼び出しを受ける。
召集された多くの科学者らと共に彼女が聞かされたのは、宇宙から高速で飛来する謎の物体が、間もなくマンハッタンに激突するという、衝撃的な発表だった。
その物体は、セントラルパークに軟着陸。
そこから現れた異星人に対し、駆けつけた軍の兵士が極度の緊張の余り、発砲してしまう・・・
オリジナルの「地球の静止する日」が公開されたのは、朝鮮戦争の最中。世界大戦の直後にも関わらず、人類を破滅させかねない核兵器を持つ大国が相変わらず戦いを繰り返し、このまま愚かな戦いを繰り広げていては、いつか人類は滅びる、と言う警告を持った作品でした。
２１世紀になり、人類を滅ぼしかねないのは、「環境破壊」です。
その「環境破壊」から地球を救う為、星からの使者を再び降臨させる、というアイデアは面白いと思います。
しかし、「核戦争」は回避すべき、とは、誰しもが思う事ですが、「環境破壊」はどうでしょうか？
戦争は避けたい、それは多くの人が同意するでしょう。しかし、環境を守る為に、人は、本気で変わる事が出来るでしょうか？
「環境破壊」は、人間のエゴが生み出したものです。
地球を救う為に、人間は変わる事が出来る、と主張したヘレンが見せたものが、家族への愛情と言うエゴイスティックなものであった、と言う、あまりに貧弱な描写が、この映画の最大の弱点でしょう。
この程度の説得で、考えをあらためる異星人にも納得出来ませんし、最後、全ての機械が機能停止するのも（オリジナルにあった描写とは言え）、あまりに唐突で意味不明。
確かに、そのビジュアルはオリジナルより格段に進歩しているのですが、リメイクとして、オリジナルの持っていたテーマを描き切れず、メッセージ性も希薄になってしまったのでは、よい出来とは言えないと思います。
PS
ジェイコブ役の、ジェイデン・スミスは、あのウィル・スミスの息子。
不屈のヒーロー、ウィル・スミスが死んでいると言う設定は・・・何処かで復活して異星人とガチンコバトルでもやるのではないか、と心配してしまったりしました。
（１２月１９日 ＴＯＨＯシネマズ海老名にて）
（作品データ）
■監督
スコット・デリクソン
■出演
クラートゥ ・・・ キアヌ・リーヴス
ヘレン・ベンソン ・・・ ジェニファー・コネリー
ジェイコブ・ベンソン ・・・ ジェイデン・スミス
（その他のキャスト）
ジョン・クリーズ ジョン・ハム キャシー・ベイツ
■コピー
人類は気づいていない。
■Ｌｉｎｋ
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