ＧＳワンダーランド
ＧＳ（グループ・サウンズ）とは、１９６６年の「ビートルズ」来日以降ブームとなり、多数がデビューした、数人編成でエレキギターを自ら演奏して歌うグループや、その音楽を示す、日本独自の呼称です。
これは、その「ＧＳブーム」を描く映画です。
１９６８年。ＧＳブームに乗り遅れまいと新レーベルを立ち上げたレコード会社から、新人スカウトを任されていた弱小プロダクション社長の梶井は、マサオ、シュン、ケンタの３人が結成したばかりのバンドを発掘。
歌手志望のミクを男だと偽ってオルガンに加えてデビューさせるが・・・
日本独自の音楽ムーブメント、ＧＳ。
沢田研二や、岸部一徳がメンバーだった「ザ・タイガース」、堺正章がボーカルを務めた「ザ・スパイダース」、そして「ブルーコメッツ」・・・ＧＳの最盛期は、この映画でも描かれるように、１９６０年代後半の短期間だけでしたが、後に日本の芸能・音楽界を支える事になる多くの人物を輩出、その後、歌謡曲からＪ−ＰＯＰへ発展していく日本の音楽界の基礎を作ったとも言える特異な時代をどのように描くか、そこを期待していたのですが・・・この映画、惜しい事に、そのＧＳの音楽面の面白さ、そして、社会現象となった部分を描き切れていません。
新人ＧＳグループが、メンバーのひとりが女性であるのを男性と偽り、それが逆に人気になってしまって・・・と言う、ＧＳとはあまり関係のない部分を物語の中心にした、コメディタッチの青春映画にしてしまっています。
確かに、ＧＳに関わった人物は多く、当時をリアルに再現する事は、なかなか難しかったのだろうと思います。
（実際、当時のメジャーなグループをほとんど出す事が出来ず、音楽面ではいささか物足りないものになっています）
それでも、この題材は面白いもので、これを青春と郷愁だけで料理してしまうのは惜しい、と思うのです。
確かに、岸部一徳を出演させ、実際に、筒美京平に楽曲を提供して貰ったり、と努力も判るのですが・・・この題材を扱うには、力及ばず、と言う事でしょうか。
（１１月１５日 ＴＯＨＯシネマズ海老名にて）
（作品データ）
■監督
本田隆一
■出演
マサオ ・・・ 石田卓也
シュン ・・・ 水嶋ヒロ
ケンタ ・・・ 浅利陽介
ミク ・・・ 栗山千明
（その他のキャスト）
温水洋一 大堀こういち 緋田康人 村松利史 三倉茉奈 三倉佳奈
根岸季衣 湯原昌幸 山崎一 森田順平 山崎樹範 ケンドーコバヤシ
片桐仁 佐藤二朗 大杉漣 高岡蒼甫 武田真治 杉本哲太 岸部一徳
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世界が僕を待っていた。
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