容疑者の献身 

YOUGISHA X NO KENSHIN


 これは、天才物理学者と女性刑事の凸凹コンビが難事件に挑む、東野圭吾の小説を映画化したもの。
 この物語は、既にTVドラマになっており、この映画は、その劇場版となります。
 主役の“ガリレオ”こと天才物理学者の湯川を、人気ミュージシャンの福山雅治が演じ、内海刑事を柴咲コウが演じます。

 クリスマスも迫った冬の朝、草野球グラウンドで顔を潰され、指を焼かれた男性の死体が発見される。
 所轄として捜査に当たる内海は、被害者の妻が怪しいと睨んだが、彼女には完璧なアリバイがあった。
 内海は、結局、“ガレリオ”に捜査協力を依頼するが・・・

 はらは、原作未読、TVドラマも観ていなかったのだけど、これは単発の映画としてもなかなかよく出来ている、と思いました。
 何より、福山雅治演じる、“ガリレオ”・湯川準教授の変人ぶりが強烈、かつ面白い。
 その向こうを張る、天才数学者・石神を演じた堤真一と合わせ、この2人の頭脳戦が映画を引っ張ります。

 ・・・が、この映画、残念なのは、スクリーンに登場する2人を天才とするほど、映画の脚本家が頭がよいように思えない事。
 詳しく書くとネタバレになってしまいますので、控えますが、石神にあの“隠蔽”が出来るなら、あんな“工作”は不要だったんじゃないか、と。
 恐らく、原作では、あの“工作”が必要な切迫感が描かれているのでは、と思いますが、映画ではその辺りが抜け落ちている感じで、石神があの判断をするに至ったのかが、
 「さっぱりわからない」
 のです。
 
 いや、確かに、あのトリックは鮮やかなもので、それに湯川が気付く辺り、そして、巧妙に張られた伏線、終盤のネタ明かしでは、「あ、やられた」と思っただけに、その根本を揺るがすような描写の欠落が惜しい。
 これは、正に「策士、策に溺れる」ですね。
 映画に描かれた石神が、そう言う人物ではない、と強調されていただけに、そんな所がひっかかってしまいました。  

 (10月4日 TOHOシネマズららぽーと横浜にて)


(作品データ)

 ■監督

西谷弘

 ■出演

 湯川学(ガリレオ) ・・・ 福山雅治
 内海薫        ・・・ 柴咲コウ

 石神哲哉 ・・・ 堤真一

(その他のキャスト)
 松雪泰子  北村一輝  ダンカン  長塚圭史  林泰文
 鈴木卓爾  金澤美穂  リリー・フランキー  八木亜希子
 石坂浩二  林剛史  葵  福井博章  高山都  伊藤隆大
 品川祐  渡辺いっけい  真矢みき  益岡徹

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その謎を、愛そう。

 ■Link

http://yougisha-x.com/


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