デトロイト・メタル・シティ |
人々に夢や希望を与えるクリエイターに憧れる人は少なくないけれど、なりたい、と言う情熱だけではなれるものではありません。
人の心を動かすには、情熱だけではなく、才能も必要。
でも、その“才能”が自分の望むものと違っていたら・・・
これは、そんな若者の苦悩を描いた物語です。
若杉公徳の人気コミックスを、李闘士男が映画化。
主演は松山ケンイチ、ヒロインには加藤ローサ。
オシャレで可愛いポップミュージシャンを目指して上京した青年、根岸。
音楽を通じて人々に夢を与えたいと願う根岸は、大学を卒業後、ミュージシャンへの道を進む事に・・・だが、彼は今、悪魔系デスメタルバンド「デトロイト・メタル・シティ」のトップボーカリスト、ヨハネ・クラウザーII世として、インディーズ界を席巻しようとしていた！
原作コミックやアニメ版よりも誇張された松山ケンイチ演じる根岸のナヨナヨぶりがやり過ぎに思え、「これは失敗したかな？」と思いましたが、やはり、クラウザーII世が登場してからは、映画は俄然、面白くなります。
かなりコミカルで、分かり易いパロディ的な展開は期待と少し違いましたが、ライブシーンはなかなか本格的。
なにしろ、「ＫＩＳＳ」のジーン・シモンズまで引っぱり出しているのです。
出来れば、この“対決”は、真っ当な音楽勝負にして欲しかったと思うのですが・・・
笑える程に対象的なふたりを演じ分けた松山ケンイチは確かに凄い（さすがに、クラウザーII世の声と歌は吹き替えですが）。
社長にボロボロにされた後、ノーメイクでクラウザーII世になる辺りは、松山ケンイチの本領発揮と言えるのではないでしょうか。
全体的に笑えるコメディではありますが、クライマックスのライブ対決に至る展開はなかなか感動的。
自分が望んだ夢でなくても、自分が望んでいない才能であっても、立場があって、そして、支えてくれる人、自分に夢を投影してくれる人がいたら、やはり、それには応える必要があるでしょう。
そして、自分を待つ人の為にライブ会場に向かう根岸＝クラウザーII世の姿は感動的。
そんな所から、現実に立ち向かう勇気を貰った気がしました。
（８月２９日 ＴＯＨＯシネマズ海老名にて）
（作品データ）
■監督
李闘士男
■出演
根岸崇一／ヨハネ・クラウザーＩＩ世 ・・・ 松山ケンイチ
相川由利 ・・・ 加藤ローサ
（その他のキャスト）
秋山竜次 細田よしひこ 大倉孝二 岡田義徳 高橋一生 美波
大地洋輔 大谷ノブ彦 濱田万葉 たくませいこ マーティ・フリードマン
鮎貝健 ジェレミー・コルソン 鈴木一真 カジヒデキ 柊瑠美 宮崎美子
松雪泰子 ジーン・シモンズ
■コピー
僕がしたかったのは・・・こんなバンドじゃない!!
■Ｌｉｎｋ
［戻る］