たみおの
しあわせ
これは劇作家・演出家として知られる岩松了の１５年ぶりの映画。
・・・と言うより、岩松了に、オダギリジョー、麻生久美子と言えば、人気ＴＶドラマ「時効警察」を連想する方がむしろ多いかも知れません。
映画は、男やもめのひとり息子の見合いから結婚式までのエピソードを、「幸せ」とは何かを描くものです。
母を早くに亡くし、父・伸男と二人暮らしの民男。
少しオクテな彼は、父親が持ってくる縁談を断り続けていたが、何度目かのお見合いで出会った瞳と言う女性と意気投合し、結婚が決まる。
それで、ようやく肩の荷が下りた伸男は、同じ会社で働く雪江との関係を進めようとする。
だが、伸男の義理の弟が、ニューヨークから帰国した事がきっかけで、事態は思わぬ方向へ動き出して行く・・・
映画としては、淡々として地味な始まりで、これは往年の日本映画のように見せて行くのかと思わせつつ、意外な登場を見せる父の義理の弟が物語を引っかき回して行きます。
そうした微妙な不協和音の入った中で奏でられるのは、民男と伸男、ふたりの父子の微妙な関係。
妻／母を亡くし、その不在の中で微妙なバランスを取って生きて来たふたりが望んだのは、妻であり母にもなり得る瞳と言う存在。
そして、同時に、瞳は、ふたりにとって大事なものを壊し、家庭内のバランスを壊しかねなない存在で・・・それを恐れる余り、ふたりは映画のクライマックとなる場面で、破滅的な決断をしてしまうのです。
そして、ある意味衝撃的な、呆気にとられるようなエンディング・・・でも、それが民男の、ふたりの幸せであったのでしょう。
PS
クライマックスシーンは、某名作映画を思い起こさせるもの。でも、そのインパクトはこちらの方が上だと思います。
（８月１５日 川崎チネチッタにて）
（作品データ）
■監督
岩松了
■出演
神崎民男 ・・・ オダギリジョー
三枝瞳 ・・・ 麻生久美子
神崎伸男 ・・・ 原田芳雄
（その他のキャスト）
小林薫 冨士眞奈美 川辺久造 横山通乃 藤井びん
本間しげる 三石研 田中哲司 伊勢志摩 江口のりこ
今宿麻美 三木聡 掛田誠 片桐夕子 佐藤直子 上野葉子
守田比呂也 牧口元美 野口かおる 坪内有子 永田良輔
忌野清志郎 原田貴和子 石田えり 大竹しのぶ
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結婚しても、しなくても、どのみち君は後悔することになる──ソクラテス
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