アクロス・ザ・ユニバース
ACROSS THE
UNIVERSE
これは、ビートルズの曲を使って構成された、ジュリー・テイモア監督によるミュージカル映画。
物語の中心となるのは１９６０年代のニューヨーク。
イギリス人青年ジュードと、恋人をベトナム戦争で失ったことから反戦運動にのめり込んでいく少女ルーシーのロマンスを中心に、ベトナム戦争と反戦デモ、デトロイト暴動、キング牧師暗殺など、当時の世相を散りばめながら、ＮＹのアパートで集団生活を送る若者たちを描いて行きます。
リバプールの造船所で働く青年、ジュードは父親を探しにアメリカへと旅に出る。そこで出会ったのが、裕福で、やんちゃな大学生のマックス。
そして、ジュードは、運命の恋に落ちる。相手は、マックスの妹で高校生のルーシーだった。
ただ、ルーシーにはベトナム出征中の恋人がいた。貧乏なイギリス人旅行者の自分には叶わぬ恋、と諦めて、ジュードは、大学を中退したマックスと共にニューヨークへ向かった・・・
ジュードやルーシーという名前は、ビートルズの曲から拝借したものだけど、これは劇中でビートルズの曲をそのまま使用し、それをドラマに繋げる為の必然ではあると同時に、ミュージカルとして曲を使用する以上の何かをビートルズに求めているからでもあるでしょう。
そうした理由で、この映画では名前の他にも、ビートルズがらみのエピソードを引用しています。
ジュードの出身地がリバプールになっているのは、もちろんそこがビートルズの出身地だからでしょう
。主人公たちは奇妙なバス旅行にも出かけるし、旅先では怪しげなグルに出会ったりもします。
はらは、そこまで詳しくはないのですが、この映画をビートルズのファンが観ると、いろいろな遊びや引用が散りばめられていて楽しいのではないか、と思います。
ミュージカルとしてはよく工夫されていて、よく出来ています。登場人物がいきなり唄って踊り出すミュージカルに馴染めない人にも違和感を感じる事が少ないである展開です。曲とシーン、それにキャラクターの心情との絡みも上手いし、絶妙のアレンジにも感心させられます。
最後の屋上コンサートも予想通りの気持ちいい展開で、あれには思わず感動してしまいました。
よく出来ているし、楽しい映画ですけど、惜しいのは、この映画、“現在”との関連づけが弱いのです。
映画の中で再現された４０年前の青春と、それを彩る音楽が魅力的であるだけに、それが“現在”にどう結びつくのか。
映画の中のベトナム戦争を、現在のイラク戦争と重ねて描いてもいいでしょうし、あるいは時代を変えて、現代にしてしまってもよかったのでははないか、と。
そうする事で、ビートルズを知らない現在を生きる若者たちにもアピール出来たのではないでしょうか？
今のままでは、新たなアレンジに喜ぶ、ビートルズに親しんだ高年齢層にしかアピール出来ないように思えます。
（８月１３日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
ジュリー・テイモア
■出演
ジュード ・・・ ジェス・スタージェス
ルーシー ・・・ エヴァン・レイチェル・ウッド
（その他のキャスト）
ジョー・アンダーソン デイナ・ヒュークス マーティン・ルーサー・マッコイ
Ｔ・Ｖ・カービオ ボノ ジョー・コッカー サルマ・ハエック
■コピー
愛こそはすべて
All You Need Is Love
■Ｌｉｎｋ
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