ザ・マジックアワー
The Magic Hour
これは、三谷幸喜、４本目の監督映画。
伝説の殺し屋を演じる事になった俳優の巻き起こすコメディ映画です。
これ、公開以来大人気のようで、２週待ち、そろそろ落ち着いたかな、と金曜のレイトで観たのですけど、それでも結構な入りでした。
物語は、港町の守加護で、街を牛耳るギャングのボスの愛人マリに手を出し、絶体絶命のピンチに追い込まれた、クラブ支配人の備後。
ボスに、伝説の殺し屋デラ富樫を連れて来れば全てを水に流すと言われた備後は、映画監督になりすまし、売れない俳優の村田にデラ富樫を演じさせることにするが・・・
この物語設定を見て判るように、これは、往年のハリウッド映画のオマージュ作品です。
時代としては、４０年代。
劇中映画の「暗黒街の用心棒」は、「カサブランカ」のオマージュでしょうか？
映画は、大規模セットを組んで、殆どがセットで撮影されたようですが、元々、舞台演出家の三谷幸喜にしてしてみれば、この方がやり易いのかもしれません。
そうして、舞台を拵え、豪華過ぎるキャストを揃えて繰り広げられるのは、三谷コメディの真骨頂とでも言えるもの。
確かに、面白く、声を出して笑ってしまうような箇所が幾つもあり、劇場でも笑い声が上がっていました。
また、有名俳優を惜しげもなくちょい役に配し、また、主要な役には、今までにない役柄や、得意技を封じて演じて貰うなど、豪勢なキャスティングには感心するやら呆れるやら・・・
だけど、惜しいのは、これがダメなら映画止める、とまで思い込んだ三谷監督の力がいささか入り過ぎているせいか、序盤のテンポが悪く、そして映画自体もコメディとしてはかなり長い。
（カメオ出演もされた市川昆監督も、脚本を見て「よく描けている。でも長いな」と評されたそうです）
この辺り、上手く整理して、テンポよく２時間にまとめてくれれば文句なしだったのですが・・・
マジックアワーとは、日が沈み、まだ明るさが残っている時間帯のこと。
昼と夜の狭間にあるその時間に映画人が魅せられるように、三谷監督もまた、現実と空想の間にある、この「映画」と言う世界に魅入られたようです。
三谷監督に、５本目の映画を撮る決意をさせたこの映画、これは大人気となるのも納得です。
（６月２０日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
三谷幸喜
■出演
村田 ・・・ 佐藤浩市
備後 ・・・ 妻夫木聡
マリ ・・・ 深津絵里
（その他のキャスト）
綾瀬はるか 西田敏行 小日向文世 寺島進 戸田恵子 伊吹吾郎
浅野和之 市村萬次郎 柳澤愼一 香川照之 甲本雅裕 近藤芳正
梶原善 阿南健治 榎木兵衛 堀部圭亮 山本耕史 市川亀治郎
市川崑 中井貴一 鈴木京香 谷原章介 寺脇康文 天海祐希 唐沢寿明
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