築地         
 魚河岸 三代目


 これは、築地の魚市場を舞台にした人気コミックを、大沢たかお主演で映画化したもの。
 松竹は、気合いが入っていて、これを「寅さん」や「釣バカ日誌」に続く、シリーズものにしようとする意図があるようです。

 主人公の旬太郎は、新橋の商社に勤めるサラリーマン。課長への昇進も決まり、婚約者の明日香には、そろそろプロポーズをしようと考えていた。
 だが、最近、疲れ気味の明日香の後を追った旬太郎は、明日香が、倒れた父の代わりに築地魚市場の仲卸を手伝っている事を知る。
 明日香を手助けしようと魚市場に飛び込んだ旬太郎だが、そこに働く人々の心情、そして、元々好きだった魚と、商売人の真剣勝負の世界を知った彼は、ある事をきっかけに、決断をしてしまう・・・

 これは、いい日本映画です。
 笑って、その心情に打たれてほろりとし、また頑張ろうと活力を貰う、人情喜劇。これぞ、松竹の伝統芸。
 途中、幾度も声を出して笑ってしまい、また、中盤以降は幾度もほろりとさせられました。

 ただ、21世紀の日本映画らしく、また、そこは築地、江戸ッ子の世界。日本映画の抱えていた湿っぽさを極力抑え、カラッと明るく、小粋に描いて見せたのも魅力的。
 大沢たかお、田中麗奈と言う、映画中心で活躍して来た2人ならではの演技もいいし、脇を固めるキャラクターもいい。
 そして、築地と言う舞台の面白さも重なって、なるほど、これなら、確かにシリーズ化の期待も出来そうです。

 ただ、映画としては、まだほんの駆け出し。
 旬太郎は、まだ「三代目」として認められていません。
 三代目を名乗り、映画も、松竹を背負って立つ看板作品になれるかどうか、それは来年公開の2作目を観てからの判断になるでしょうか。

 (6月8日 109シネマズMMにて)


(作品データ)

 ■監督

松原信吾

 ■出演

 旬太郎 ・・・ 大沢たかお
 明日香 ・・・ 田中麗奈

(その他のキャスト)
 伊原剛志  森口瑤子  マギー  荒川良々  温水洋一
 峯村リエ  江口のりこ  池谷のぶえ  佐野史郎
 鈴木一真  森下愛子  甲本雅裕  田口浩正  斉藤暁
 中島史恵  中村久美  六平直政  大杉漣  柄本明  
 伊東四朗

 ■コピー

ここには、忘れていた大切なものがある──

 ■Link

http://www.uogashi3.jp/movie/


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