ブラックサイト
さあ、始めよう。
これは、ネットの中に開設された殺人生中継サイトの主催者を、警察とＦＢＩサイバー捜査官が追う物語です。
主演はダイアン・レイン。
共演のコリン・ハンクスは、トム・ハンクスの息子ですね。
素朴で、人柄のよさそうな感じは、父親譲りですが、存在感を主張するようになるにはまだまだ、と言う所かな。
物語の舞台はポートランド。ＦＢＩ捜査官のジェニファーは、サイバー犯罪を専門に取り締まっていた。
ある日、子猫を虐殺する不審なサイトの調査を警察に依頼された彼女は、同僚のグリフィンと共に捜査を始める。
しかし、サイトの主催者は国外のサーバを何度も迂回してサイトにアクセスしているため、通常の捜査方法ではまったく相手にたどり着けない。
サイトは次に人間をなぶり殺す様子を実況中継し始めた。
犯人は警察やＦＢＩを挑発するように、次々に犠牲者を残酷な方法で血祭りに上げていく・・・
物語の粗筋を見る限り、これはネットを悪用した連続殺人犯と、それを追う警察関係者の戦いを描いた話に思えます。
しかし、この映画が告発しているのは、顔の見えないサイバー殺人犯でも、インターネットと言うシステムの危険性でもありません。
この映画が告発するのは、それは犯罪とは何の関係もない、我々普通の一般大衆が持つ当たり前の心理、「野次馬根性」です。
映画の冒頭近くに、道路の事故渋滞の様子が登場します。四輪車と二輪車の事故で、ライダーと思われる人が路肩に横たわり、上半身にシートがかけてある。おそらく死亡しているのでしょう。通行中の車はこの様子を見ようと、事故現場の横で車の速度を落とし、それで渋滞を生じていたのです。
人は、他人の死をも好奇心を持って見物するのです。恐らく誰にでも経験はあるでしょうけど、人間の死は、赤の他人にとってはエンターテインメントになり得るのです。
勿論、大抵の人は自分の家族や友人の死を、エンタテーインメントだとは考えません。しかし、他人の死には無関心になれる。他人の死を、物笑いの種や酒の肴にすることができる。それが人間誰もが心の中に持つ、品性のなさ、どうしようもない嫌らしさです。
この映画は、そうした人間の心理自体を批判します。
この映画、見終わった後に爽快感が全くないのは、告発されるべき最大の「悪」を、スクリーンの「こちら側」に配しているせいかもしれません。
（４月１８日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
グレゴリー・ホブリット
■出演
ジェニファー ・・・ ダイアン・レイン
グリフィス ・・・ コリン・ハンクス
（その他のキャスト）
ビリー・バーク ジョセフ・クロス メアリー・ベス・ハート
■コピー
ＦＢＩサイバー捜査官を追い詰める、６６億人の好奇心。
■Ｌｉｎｋ
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