つぐない
Atonement
これは、イアン・マキューアンの小説「贖罪」を「プライドと偏見」のジョー・ライト監督が映画化したもの。
「プライドと偏見」のキーラ・ナイトレイが出演、幼いブライオニーを演じたシアーシャ・ローナンは、この映画でアカデミー賞の助演女優賞にノミネートされました。
舞台は第二次大戦直前のイギリス。
上流階級の娘セシーリアと、屋敷で働く女中の息子ロビーは幼なじみ。やがてふたりは身分の差を越えて愛し合うようになるが、セシーリアの妹ブライオニーの嘘が発端となって、愛するふたりは引き離されて・・・と言う悲恋のメロドラマを、映画は最後の最後に突き崩し、再構築してしまう。
この構成はなかなかのものです。
映画は、ブライオニーの少女時代と、第二次大戦開戦後で、ガラリと空気を変え、まるで別の映画のよう。
光と陰を効果的に使い分け、光り輝くシーンでは、ガラス細工のような透明感を持たせていた前半と、くすんだ後半・・・ただ、これは映画を通してみると、その描き分けに納得出来ます。
ブライオニーの少女時代の屋敷は天国で、開戦後のイギリスは煉獄なのです。
ブライオニーは、ロビーとセシーリアが屋敷を去る事となった原因を作ったのであり、つまり、これはアダムとイブが楽園を追放された事を意味するのでしょう。
これは、その原因を作った蛇が、己の行為の贖罪をする物語なのです。
あと、この映画、タイプライターの音など、効果音を取り込んだ音楽の出来が秀逸。
アカデミー賞の作曲賞を獲っている、との事ですが、それも納得でした。
（４月１３日 川崎チネチッタにて）
（作品データ）
■監督
ジョー・ライト
■出演
セシーリア ・・・ キーラ・ナイトレイ
ロビー ・・・ ジェームズ・マカヴォイ
ブライオニー（１４歳） ・・・ シアーシャ・ローナン
ブライオニー（１８歳） ・・・ ロモーラ・ガライ
ブライオニー（老年） ・・・ ヴァネッサ・レッドグレイブ
（その他のキャスト）
ブレンダ・ブレッシン
■コピー
一生をかけて
償わなければならない罪があった。
命をかけて
信じ合う恋人たちがいた。
■Ｌｉｎｋ
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