ノーカントリー


 土曜日、ららぽーと横浜で、「ノーカントリー」を観る事にしました。

 これは、コーエン兄弟の最新作。
 今年度、アカデミー賞4部門受賞の話題作です。

 テキサスの荒野でハンティングをしていたモスは、獲物を追ううち、銃撃戦の現場を発見。
 多数の死体と大量の麻薬、そして200万ドルの現金。
 どうやら、ギャングの麻薬取引の現場で交渉決裂し、双方相打ちになってしまったようだ。
 まんまと200万ドルの大金をせしめたモスだが、ギャング組織が送り込んだ、冷酷な殺人鬼シガーの標的となってしまう・・・

 かつてのアメリカンスピリットの象徴の西部は、現在では無法地帯。
 そんな無法ぶりを象徴するのが、殺人鬼・シガーです。
 国家にも、法律にも、組織にも・・・何にも縛られず、己のルールに従って生きる男。
 過去に取り残され、生きる場所を失った老いた男たちの、愛すべき国の今を憂う声も彼には決して届かないのです。

 そんな殺伐とした世情を、コーエン兄弟は、80年代の西部の荒原の乾いた風景に重ね合わせ、そして、得意とする音楽を封印してまで、静かに乾いた映画としてこれを作り上げました。
 映画は、静寂の中にも緊張感漲る犯罪スリラーとして、観客を存分に楽しませながら、観客ひとりひとりが持つ、「ノーカントリー」を嘆いているようです。

 ラストシーン、静かに立ち去って行くシガーの行く先は、我々の心の中なのかもしれません。

 (3月15日 TOHOシネマズららぽーと横浜にて)


(作品データ)

 ■監督

ジョエル・コーエン, イーサン・コーエン

 ■出演

 エド・トム・ベル保安官 ・・・ トミー・リー・ジョーンズ
 
 ルウェリン・モス ・・・ ジョシュ・ブローリン
 アントン・シガー ・・・ ハビエル・バルデム

(その他のキャスト)
 ウディ・ハレルソン  ケリー・マクドナルド  ギャレット・ディラハント  テス・ハーパー
 バリー・コービン  スティーヴン・ルート  ロジャー・ボイス  ベス・グラント  アナ・リーダー

 ■コピー

純粋な悪にのみこまれる

 ■Link

http://www.nocountry.jp/


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