ラスト、コーション
色、戒
これは、ヴェネチア国際映画祭でグランプリ受賞したアン・リー監督の話題作。
日本では成人指定となった過激な性描写が話題となっていますが、実は重厚な人間ドラマが見所の映画です。
１９３８年。戦火を避けて、中国本土から香港に渡った大学生のワン・チアチーは、密かに思いを寄せる演劇部のクァンの影響で、次第に抗日運動へと傾倒していく。そして、クァンに誘われ、日本に協力して抗日中国人の弾圧を行う中国・傀儡政府の要人、リーの暗殺計画に加わる事になる。
ワンは、裕福な貿易商夫人としてリーに接近するが・・・
リーを演じるのは、香港映画の人気スター、トニー・レオン。ワン・チアチーにはこれが映画デビューとなる新鋭、タン・ウェイ。
トニー・レオンの激しさを秘めた静かな存在感、これは期待通りですが、見事だったのは、タン・ウェイの存在感と演技。
素顔は清く純情、それが化粧をすれば妖艶な美女になる・・・女が持つ、処女と娼婦の顔を見事に使い分ける、彼女は、正にこの映画のイメージそのままの存在でした。
色欲に惑わされるのが人の本能なら、人は、その本能に逆らうべく自らを戒める。そして、愛は・・・？
アン・リー監督は、その本能と自戒の狭間に揺れる真理に迫って行きます。
過激な性描写と、２人を訪れる苛烈な運命に心を揺さぶられますが、監督が狙うのは、もっと深い、心の奥底にあるもの。
それが、センセーショナルなだけではない、恐るべき完成度の重厚なドラマに結実しました。
（２月１０日 １０９シネマズＭＭにて）
（作品データ）
■監督
アン・リー
■出演
イー ・・・ トニー・レオン
ワン・チアチー（マイ夫人） ・・・ タン・ウェイ
（その他のキャスト）
ジョアン・チェン ワン・リーホン トゥオ・ツォンホァ チュウ・チーイン ガオ・インシュアン クー・ユールン
ジョンソン・イェン チェン・ガーロウ シュー・イエン ハー・サイフェイ ソン・ルウフイ ファン・グァンヤオ
リサ・イェンルウ アヌパム・ケール リュウ・ジェー ユウ・ヤー ワン・リン フア・ドン ワン・カン
ソン・ジャンファ 竹下明子 藤木勇人 瀬戸摩純 小山典子 シャーム・パータク グゥ・ジャンピン
ガオ・ボウウェン ユー・チュン ラウ・ヤット ライ・ヨッチーン 小島佑二 溝上陽子 南方文香
アニス・ファットナシ タン・ヤジュン シー・ホン デン・ウェイ, リー・ドウ
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その愛は、許されるのか？
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