「６０セカンズ」

　夕べ、会社の帰りに「６０セカンズ」を観て来ました。
　これは、1974に作られた映画「バニシング in ６０」のリメイクです。
　内容や設定はオリジナルから大分改変されているようですが、フォードGT５００が活躍するのは同じです。
　
　主人公のメンフィスは元スゴ腕のクルマ泥棒。
　逮捕される事なく足を洗って６年になる彼の元へ、昔の仲間から連絡が入る。
　メンフィスの弟がクルマ泥棒でヘマをし、依頼人から殺されそうになっている、と言うのだ。メンフィスは弟の命を救うために代わりにクルマを盗む仕事受けざるを得なくなる。
　彼に残された時間は７２時間。
　１日で昔の仲間を集め、１日で下調べを行い、そして最後の１日で５０台を盗むのだ。
　まぁ、この映画、物語はどうでもよろしい。(^^;
　この映画が、クルマ好きを嬉しくさせるのは、主要な登場人物がいずれもクルマにどっぷり浸かった人間たちであると言うこと。
　彼らはクルマ泥棒をするだけあって、当然、クルマには詳しいのですが、更に本業もクルマ関係だし、その他の話題もクルマの事ばかり。
　盗みの仕事の合間の息抜きに無線で交わす会話も、「自動車カルトクイズ」だったりします。
　（「『刑事コロンボ』の愛車は？」「プジョー！」「じゃ、色は？」「銀！」ってな具合）
　しかし、女抱く時にも自動車のパーツの名称を呟いていると言うのはねぇ・・・さすがに、そこまではなかなかないのではないか、と。(^^;
　（ま、女の方も、水差し代わりのオイルジョッキから水を飲むような女ですが）

　また、クルマ泥棒と言うのは、クルマ好きからは敵対視される存在な訳ですが（なにせ、愛車を持っていってしまうのだから）、映画では、彼らを「高級車専門」と描き、更に、弟（仲間）の命を救う為に、嫌々やっている、とすることで観客の感情移入を阻害する条件を極力排除している辺りは巧妙な所。

　クルマを盗む手口にしても、まぁ、実際の犯行の手引きになってもマズいので詳細には描きませんが、盗難防止装置があれば、それをカットしてから仕事にかかるとか、イモビライザー付きのクルマは、ディーラーの従業員を買収して、キーを複製させて盗むとか、ディティールを押さえている辺りもなかなかです。

　主演はニコラス・ケイジ（髪がいつの間に増えているぞ(^^;）。
　ヒロインのアンジェリーナ・ジョリーは、もっとアバズレ然としているのか、と予想していたのだけど、頭がキレ、しかも女らしい（でも奔放）魅力的なキャラクターでした。

　映画のクライマックスは、フォードＧＴ５００と警察とのカーチェイスになる訳ですが、ここでＧＴ５００（1967年式である）を出す伏線として、盗み出すクルマのリストが、ただの高級車（ベンツとか、フェラーリ、ポルシェ）だけでなく、ハマーなどのオフ車や、古いフェラーリやアメ車のホットロッドなど様々な車種を含み、ＧＴ５００が登場する事に違和感がないようにしてあるのもさすがです。
　このカーチェイスは凄い迫力で、大パワーのアメ車ならではの、「踏めばケツ振って猛然と加速」する豪快さと、腹にこたえるＶ８のビートがたっぷりと堪能出来ます。
　これは、大画面で、しかも音響のいい劇場で楽しみたい所ですねぇ。(*^^*)

　また、この、フォードＧＴ５００、現代のアメ車に較べると小振りで、音もよければ、見栄えもいい。
　”高回転至上主義者”の私でさえ、「アメリカンＶ８もいいもんだなぁ(^^)」と思ってしまう程に魅力的でした。（これがあるから、最後の主人公の怒りが共有出来る）

　まぁ、このカーチェイスが事実上のクライマックスで、ここでカタルシスを覚えてしまうので、この後の対決が付け足しにしか思えなかったりしますが、キッチリ終わったエンディングと、最後のオチもまた見事でありました。

　（９月１５日　マイカル本牧シネマズにて）

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