自虐の詩
これは、業田良家の連作４コママンガを映画化したもの。
「トリック」の堤幸彦が、そのケレン味のある映像で、この４コマをどのように映画化するのかが注目です。
主演は、中谷美紀で、「嫌われ松子の一生」もそうでしたが・・・中谷美紀は、こうした転落人生と言うか、薄幸な役が最近多いなぁ。
大阪の下町。
幼い頃に母親に捨てられ、父親は銀行強盗で服役中、と言う、この世の不幸を一身に背負って生きてきたような幸江は、元ヤクザのイサオと古いアパートで暮らしていた。
イサオは、仕事もせず博打と酒に明け暮れ、些細な事で怒ってはちゃぶ台をひっくり返す男だったが、幸江はそんな彼との生活から逃げ出そうとする素振りもない。そんなある日・・・
これは、「幸せになりたい」・・・いや、「幸せ」とは何か、を問い続ける物語。
はらは、原作マンガを通しで読んだ事もなく、予備知識もほぼないままで観ていたので、まさか、こう来るとは・・・不幸のドン底の暮らしぶりをギャグに昇華し、そこに下町人情もののほろっと泣けるエピソードを振りかけた娯楽作と思っていたのですが・・・さすがは堤幸彦、いや、これは原作の力なのか、予想外の重いドラマに圧倒されました。
どんな生活でも、その全てを受け入れ、自分の人生を力強く肯定する、「自虐」とは正反対の前向きのゴールに辿り着いた物語には、静かな感動がありました。
PS
そのシーンはエンドクレジットの後にあります。
まぁ、原作にはないシーンだけに、本編につけなかったのは製作スタッフの遠慮でしょうか・・・
（１１月１２日 ＴＯＨＯシネマズ海老名にて）
（作品データ）
■監督
堤幸彦
■出演
幸江 ・・・ 中谷美紀
イサオ ・・・ 阿部寛
（その他のキャスト）
遠藤憲一 カルーセル麻紀 緒野学 辰巳智久 長町太郎
ミスターちん 金児憲史 野添義弘 蛭子能収 島田洋八
松尾スズキ 気仙沼ちゃん 岡珠希 丸岡知恵 Mr.オクレ
佐田真由美 アジャ・コング 斉木しげる 竜雷太 名取裕子
西田敏行
■コピー
白馬の王子様は、パンチパーマでした。
■Ｌｉｎｋ
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