Ｍａｙｕ
−ココロの星−
金曜日、会社を早めに上がり、ららぽーと横浜で映画を１本。
最初、「エディット・ピアフ 愛の賛歌」を、と思っていたのですが、これはちょっと重そう。最近、疲れ気味なだけに、こんな時こそ元気を貰える映画を、と言う事で選んだのがこの映画でした。
これは、松浦雅子監督による、実話を元にした物語。平山あや主演で、若くして乳ガンに冒されながらも、病と戦い、懸命に生きるヒロインを描く映画です。
主人公の竹中まゆは２１歳。二浪の後、医大進学を諦め、札幌の広告代理店で働き始めた。
ある日、乳房に違和感を覚えたまゆは、診断の結果、悪性の乳ガンを患っている事を知る。
どんな時にでも前向きな彼女は、希望を捨てず、ガンとの戦いに挑む決意を固めるのだが・・・
この種の映画と言うのは、最後、ヒロインの死でもって泣かせる感動ものが多いのですが・・・この物語は実話。
主人公の竹中まゆのモデルであり、原作者でもある大原まゆさんは健在で、この映画でも原作者として傍観するだけではいられず、方言指導を始めとして、この映画に指導・監修として加わっています。
こうして、監督曰く「嘘のない」難病ものとなったこの映画、医療関係の協力もあって、今までの難病ものの映画が見せなかった、闘病生活の現実をスクリーンに描き出しています。
勿論、映画としての「嘘」はそこに多少入るのはやむを得ないでしょうけど・・・ある意味、ドキュメンタリーのように闘病生活を淡々と描く映画中盤は、この種のジャンルの映画が逃げていた「闘病」と言う苦しい現実を見せつけるものになっています。
主演の平山あやは、これは頑張ったと言えるでしょう。
抗ガン剤治療の吐き気に、嘔吐し、終いには吐くものがなくなって、涙とよだれを垂れ流しながらのたうち回る・・・今までの難病もののヒロインが決して見せなかった有様を体当たりで演じて見せたのは大したものだと思います。
また、この映画、主人公を決して格好よく描かないのにも好感が持てます。
映画の中のまゆは、彼氏には格好つけるものの、家族には甘えも見せるしわがままも言うし、追いつめられれば親しい友人に当たり散らしもする、強いだけじゃない、裏も表もある等身大の人間として描かれています。
そうした描写が、主人公に自然に感情移入をさせてくれるように思いました。
ただ、この映画、残念ながら映画としては、盛り上がりに欠け、感動のポイントが掴みづらく、エインターテイメントしては正直、厳しい。でも、これをひとりの女性の生き様として見れば圧倒されます。
これは、確かに現実に立ち向かう勇気を貰える映画です。
秀作。
（１０月５日 ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）
２００９年５月９日、大原まゆさんは、乳ガンを再発、札幌市内の病院で亡くなりました。享年２６。ご冥福をお祈りいたします。
（作品データ）
■監督
松浦雅子
■出演
竹中まゆ・・・ 平山あや
（その他のキャスト）
塩谷瞬 池内博之 京野ことみ 若葉竜也
於保佐代子 芦名星 浅田美代子 三浦友和
■コピー
だいじょうぶ きっと私は がんばれる
■Ｌｉｎｋ
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