ストリングス
～愛と絆の旅路～
これは、デンマークの人形劇映画。
操り人形と表現の限界を越える為、「操り人形の生きる世界」を構築、操り糸に物語上の意味を持たせる、と言う大胆な発想を持ち込んだ異色のファンタジーです。
ヘバロン王国の王カーロは、これまでの罪を償い、国の将来を若き王子ハルに託すため、頭の糸を切って自害する。
だが、いち早く兄王の死を知ったニゾは、真実を隠蔽。宿敵ゼリスの長、サーロが国王を暗殺したかのように見せかけ、ハルが父の敵を討つように仕向けた・・・
この映画、何と言っても操り人形を知り尽くした作家によって構築された操り人形の生きる世界と言うのが圧巻です。
人間世界の常識にはない、その特異な様式。
一例を上げれば、操り人形の世界には、”屋根”と言うものがない。（糸が天空から下ろせないから）
「門」や「牢」の描写にも唸らされました。
糸を紡ぎ出す事で命が生まれ、糸を断たれる事で命を失う、と言う描写も秀逸です。
そうした大胆な手法によってあらなた表現の可能性を得、描かれた物語は、現実世界にも繋がる重いテーマを含んだもの。
憎しみの糸が絡み合い、争いを繰り返す、現実世界へ向けてのメッセージが込められていると感じます。
これは大した作品だと思うのですが、気になるのは、これに対し「ジャパン・バージョン」と称して手を加えた事。
吹き替えまでは仕方ないとしても、オリジナルに手を加える必要が本当にあったのでしょうか？
（５月９日 ＴＯＨＯシネマズ海老名にて）
（作品データ）
■監督
アンデルス・ルノウ・クラルン
■出演
ハル ・・・ 草彅剛
（その他のキャスト）
中谷美紀 劇団ひとり 優香 小林克也
香取慎吾 戸田恵子 伊武雅刀 市村正親
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