| ＮＡＮＡ ２ |
これは、矢沢あいの人気コミックスの映画化第２弾。
映画版は、２００５年９月に公開され大ヒットしたのですが・・・その続編は意外にも難産。ダブルヒロインの片方、小松奈々役の宮崎あおいが降板。更に松田龍平、松山ケンイチと言う主要キャストも次々に降板し、シリーズものとしては異例な主要キャストを入れ替えての続編製作となりました。映画は、とりあえずこれが完結編となるようです。
憧れの「ＴＲＡＰＮＥＳＴ」のタクミと偶然再会したハチ。上京した目的を失い、打ち込めるものもなく、落ち込んでいたハチは、誘われるまま夜を共にする。
一方、ナナのバンド、「ＢＬＡＣＫ ＳＴＯＮＥＳ」に、大手レコード会社からＣＤデビューの誘いがあった。
夢の実現に向けて走り出したナナと、夢を持てないハチの２人の間に、見えない亀裂が少しずつ広がっていった・・・
今回の映画、これはハチ（奈々）の物語、と言ってもいいでしょう。
この映画のハチは、目的意識が感じられず、目の前の事柄に翻弄されていて頼りなく、物語を引っ張る所か、あまりの軽薄さに、感情移入すら難しいキャラクター。
（どうやら、原作通りではあるようですが・・・）
これじゃ、宮崎あおいが降りる訳だ、と納得したのですが・・・映画を観ているうちに、考えが変わりました。
ハチは、自分と同じ、どこにでもいる普通の人なんだ、と。
ナナには夢もあり、それを実現する為の才能もあり、それを助けてくれる仲間もいる。
ハチには何もない。
でも、それが「普通」なんです。
世の中の殆どの人は、そうして、毎日を過ごし、年月を重ねていく。
自力で夢をかなえられる人は極一部でしかないし、そうした機会と才能に恵まれた人が夢に向かって羽ばたいて行く時、普通の人は、羨望と距離感を感じつつ見上げる事しか出来ないのです。
映画の中でくらい夢を見たい一般人としては、夢も持てない普通の人として描かれるハチに感情移入をし難いし、したくもないでしょう。
そんな難しい役柄ではあるけれど、出来る事なら宮崎あおいに、その演技力でもって、納得の出来るハチを演じて欲しかったなぁ、と思うのは贅沢な事でしょうか。
（市川由衣が悪い訳ではないのですが・・・）
また、終盤、スターダムをのし上がるナナが思う、「前に進めるのなら流されるのも悪くはない」と言うのも、ちょっとひっかかった所。
夢を見て、夢に向かって進む姿を描いて来たこの物語にしては、ちょっと違和感を感じさせる、その言葉は、ハチのつぶやく「幸せになる事と、夢をかなえる事は違う」と言う言葉と合わせ、いささかホロ苦いゴールではなかったか、と感じました。
音楽映画としては、「ＴＲＡＰＮＥＳＴ」のスコットランド・ロケのＰＶや、「ＢＬＡＣＫ ＳＴＯＮＥＳ」の新宿でのゲリラ・ライブなど、見せ場も増え、魅力は増したのですが・・・そうなると気になるのが中島美嘉の歌唱力。
いや、中島美嘉の実力を認めない訳ではないのですけど、彼女の得意はやはりバラードにあり、ロックを歌うには声の細さもあって、迫力に欠ける感じを受けてしまいました。
（１２月１５日 キネカ大森にて）
（作品データ）
■監督
大谷健太郎
■出演
大崎ナナ ・・・ 中島美嘉
小松奈々 ・・・ 市川由衣
（その他のキャスト）
玉山鉄二 姜暢雄 丸山智己 本郷奏多
成宮寛貴 伊藤由奈 水谷百輔 能世あんな
高山猛久 ペンガル 松村利史 美保純 田辺誠一
■コピー
あの頃描いていた夢の輝き。あたしは死んでも忘れない。
■Ｌｉｎｋ
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