花田少年史　幽霊と秘密のトンネル

　これは、少年のひと夏の冒険物語。夏休み・子供向けの話だけど、これはなかなかの力作です。原作は、一色まことの大ヒット・コミック。

　漁港に程近い田舎町で暮らす花田一路は、ある日交通事故に遭い、生死の境をさまよった末に生還。しかし、それがもとで幽霊が見える能力が身についてしまう。以来、セーラー服姿の幽霊、近所のおばあさんの幽霊が一路の前に現れて・・・

　幽霊が見えるようになってしまった少年が、やがて、自分の家族にまつわる過去を知り、一段大人になっていくと言う物語。
　基本的にはコメディ仕立てなのだけど、ホラーあり、サスペンスあり、ぐっと泣かせる人情ドラマあり、そしてクライマックスには伝奇ＳＦばりのアクションあり、と、内容は盛りだくさん。
　これがお子様ランチの分量ならばいいけれど、それぞれ結構なボリュームがあるので、大人でも食いきれないのではと言う感じがあります。
　この内容、対象の子供が見ても理解し切れるものなのか・・・まぁ、子供向け、と言う事で手を抜かない辺りは好印象なのですが、これはちょっと心配になりました。

　この盛りだくさんの映画を、１１歳にしてグイグイと引っ張っていく須賀健太の堂々たる主演ぶりには参ります。
　「ＡＬＷＡＹＳ　３丁目の夕日」では、引っ込み思案な少年を演じていた須賀健太が、一転、親の言う事も聞かず、わがまま放題に突っ走るワンパク坊主を演じているのですが・・・こりゃ、本当に大したものです。
　肝っ玉母さん、な篠原涼子の新たな魅力もあるし、花田一家の面々もいい感じです。
　物語のキーとなるセーラー服の幽霊を演じたのは、安藤希。安藤希は、妖しい雰囲気を身にまとう事の出来るいい女優だとは思うけど、さすがにもう２４歳、ちょっとセーラー服は似合わなくなって来たかな。

　しかし、最近の松竹は子供向け映画に、いい映画を作るよなぁ・・・　　

　（８月２０日　ＷＭＣ海老名にて）

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