ハチミツと
クローバー

　これは、美大生の５人の若者の「片思い」を描く恋愛物語。これも最近多いマンガからの映画化作品です。
　羽海野チカの同題の原作マンガは月刊「コーラス」に連載中で、ファンからは「ハチクロ」呼ばれ愛されているんだとか。

　浜美大・建築学科の竹本は、花本研究室の親睦会で、同じ浜美大に入学した担当教官の花本先生のいとこであるはぐみと出会い、一目で恋をしてしまう。
　はぐみは、その才能が学内でも既に噂の天才少女。ちょっとエキセントリックなはぐみに戸惑いながらも、竹本は彼女と次第に親しくなっていく。
　そんな時、外国に行っていた天才肌の先輩、森田がフラリと寮に戻ってくる・・・

　マンガから実写に変わる時に注目されるのは、何といってもそのキャスティング。
　実在の人間が演じるのだからマンガ通りにはなかなかいかないけれど、天才少女のはぐみ役に蒼井優、才能豊かな芸術家の森田先輩役の伊勢谷友介、ちょっと危ないストーカー紛いの真山の加瀬亮など、ほぼイメージ通りではないでしょうか。
　スゴいのはやはり蒼井優で、役になりきり、ほんとに才能があるように見えます。
　また、実際に芸大出身の伊勢谷友介も、そのクリエーターとしての片鱗を見せていたように思います。
　主役の竹本役は嵐の櫻井翔ですが、このキャストの中では、さすがに存在感・演技力共、見劣りします。が、周囲の凄い才能に圧倒される竹本と言う主人公を演じるには、ある意味それが正解だったかもしれません。

　少女マンガからの映画だけれど、映画としては特にケレン味も、マンガ的な演出もありません。
　（モノローグの多用が少女マンガっぽさを感じさせるくらい）
　むしろ、意外なくらい真っ当な青春映画となっており、これは原作やアニメを知らなくても、良質な青春映画として楽しめる内容だと思います。

　映画冒頭で一目で恋に落ちた竹本が、「好きだ」と伝えるまでに映画の中で６ヶ月以上、映画としても２時間近く引っ張ります。
　この映画、ある意味、それだけの映画なんだけど、実際、それが難しいんだよなぁ・・・としみじみ感じてしまう、なんとも初々しい青春映画でありました。

　（８月５日　ＴＯＨＯシネマズ海老名にて）

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