ナショナル・トレジャー

　今日は、昨日、表に出ていた影響か、花粉症がヒドくて鼻水と涙が止まらず、クスリを飲んだら、今度は眠くて堪らない。
　こんな状態では仕事にならん、と、月曜日と言う事もあって、早めに会社を上がり、海老名のＷＭＣで映画を観る事にしました。

　こんな状態だから、映画は難しくないやつがいいな、と言う事で選んだのが「ナショナル・トレジャー」。
　これは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」など、ヒット作を次々に手掛けるジェリー・ブラッカイマーが製作、ニコラス・ケイジを主演とした冒険活劇。

　”テンプル騎士団”によってアメリカに持ち込まれた秘宝の伝説を語り継ぐゲイツ家に生まれたベン。
　成人して、歴史学者で冒険家となったベンは、北極で手掛かりの「シャーロット」を発見。
　しかし、それは新たな手掛かりの提示に過ぎなかった。
　その手掛かりは、アメリカの「独立宣言書」に隠されていると言う・・・

　この映画、「インディ・ジョーンズ」や「トゥームレイダー」など”宝探し”ものですが、そのアイデアはなかなか工夫が凝らされていて面白いです。
　この手の”宝探し”ものでは、世界の”秘境”を巡って世界を駆け回るのがお約束のようになっていますが、この映画では、冒頭の「シャーロット」の発見以外は、ほとんどアメリカ国内を舞台とすると言う、その展開が挑戦的。
　また、宝の地図が、アメリカ独立宣言書の裏で、国宝級のその書類を盗み出すのが、前半の山場、中盤以降はその独立宣言書を巡って主人公に敵方、そして盗難犯人を追うＦＢＩと言う、三つ巴の争いになる展開もなかなかよいです。

　こうした趣向は面白いのですが、こうした趣向を凝らしたアイテムに観客が頭を捻って謎解きを楽しむ間もなく、ベンが名探偵よろしくすらすらと名推理を披露するため、ミステリーとしてはあまり盛り上がりません。
　とっとこ筋が展開するテンポのよさはいいのですけど、謎解きのミステリーの妙味に欠け、追いかけっこのサスペンスもあまり感じられず、さりとて、アクションや特撮で魅せる、と言う作品でもありません。
　この手の作品、貴重な遺跡を惜しげもなくぶっ壊すものが多いのですが、そうした破壊も冒頭の「シャーロット」を除けば殆どなく、文化財を大事にしようと言うのはなかなか貴重な作品であるかもしれません。(^^;
　また、ロマンスが燃え上がらず、激しいラブシーンもなく、妙にお行儀がいいのは、製作がディズニーであるからかもしれませんね。
　（そう言えば、「パイレーツ・オブ・カリビアン」もそうでした）
　ドラマの方は、こうしたアイデアを見せるだけのもので、厚みもなければ深みもないものですが・・・これは、まぁ、ブラッカイマーの映画ですから、こんなものでしょうか。(^^;

　主演のニコラス・ケイジは、あまりキレ者に見えないのが残念な所ですが・・・脇をジョン・ボイド、ハーヴェイ・カイテルなどのベテランがしっかりと支え、映画に重みを生み出しています。
　ヒロインのダイアン・クルーガーは、やはり綺麗ですねぇ。
　ばっちりメイクを決めた所もいいですが、後半以降のラフなスタイルにナチュラルメイクもまたいい感じでした。

　この映画、「独立宣言書」を始め、アメリカ建国当時の史跡を巡っていくのですが、そうして見て行けば行くほど感じられるのがアメリカの歴史の薄さ。
　「独立宣言書」がいかに建国当時の古いものだと言っても、たかだか２００年かそこら前の話。
　クライマックスまで後生大事に抱えている「独立宣言書」が、最後に現れる紀元前からの”人類の宝”とでも言うべき秘宝の数々に比べ、何とも薄っぺらく思えてしまうのは仕方のない事。
　だからこそ、そうした秘宝が、何処ともしれない秘境ではなく、アメリカにあって欲しいと願ってこうした映画が作られたのではないか、と邪推してしまいました。(^^;

　（３月２８日　ＷＭＣ海老名にて）

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