香港国際警察

ＮＥＷ　ＰＯＬＩＣＥ　ＳＴＯＲＹ

　金曜日、友人に誘われて、仕事終わった後に１０９シネマズＭＭのレイトで「香港国際警察」を観て来ました。

　これは、ジャッキー・チェン主演の警察ドラマ。
　以前、ジャッキー主演で同名の人気シリーズがあったけど、今回の映画はそれとは別設定になっています。
　ただ、この映画、中国では記録的なヒット作となったようなので、あるいは今後シリーズ化があるかもしれません。

　香港にあるアジア銀行の金庫を武装した強盗団が襲撃。
　逃走した犯行グループのアジトを突き止めた特捜部のチャン警部は、部下を引き連れて逮捕に向かうが、それは、犯行グループの罠だった。
　９名の部下たち全てを惨殺され、辛うじて生き延びたチャン警部は停職処分を受け、失意の中で酒びたりの日々を送っていた。
　そんなチャンの元に、新しい相棒に任命されたと言う若い巡査がやってくる・・・

　ジャッキー・チェンはアクション・コメディを得意とする俳優だけど、今回の映画はかなりハードで重いもの。
　ゲーム感覚で警官を殺すことに興奮する犯行グループと、彼らに部下をすべて殺され自暴自棄になっている刑事の戦いという設定自体がシリアスで重いもので、いつものお笑いを挟むシーンがあまりありません。
　映画前半の、酔っ払って薄汚れた路地でゲロ吐き、浮かない顔をして笑わないジャッキーの姿は、今までにあまり見ないものでしょう。

　しかしこうしたドラマ部分の重さや鬱陶しさを、吹き飛ばすのがアクションシーンの素晴らしさ。
　映画撮影時でも既に５０歳になるジャッキー・チェンですが、相変わらずスタントなしでハードなアクションを見事にこなし、アクションシーンでの体のキレも若手に見劣りせず、きっちり決めて見せる辺りはさすがの一言。
　そんな、ジャッキーならではの手に汗握るアクションシーンが荒唐無稽なものに思えず、日常の延長にあるリアルな出来事に見えるのは、ドラマ部分のシリアスさが重石になっているからかもしれません。

　クライマックスのアクションシーンでは、犯行グループを「報復」の為に倒すのではなく、犯行グループの抱える人間的な弱さを描写した上で、それぞれの決着を見せる辺りが、敵を「悪」と描くだけではない、映画の良心を感じさせる部分です。
　そして、すべてが終わった後に用意されているのは、観る者をホロリと泣かせるエピソード。
　（これはシリーズ化への布石かもしれません）
　最後を、泣かせるハッピーエンドで締めくくり、エンディングロールにはＮＧ集。
　映画は最後の最後で、漸く、いつものジャッキーの映画になりました。
　
　ジャッキーの存在感は、相変わらずのアクションを含めてさすがだけど、その、若い相棒を演じたニコラス・ツェーも、飄々とした雰囲気が独特でなかなかいい感じ。
　ハイテク担当の若い女性捜査官を演じたシャーリーン・チョイは、ちょいと松浦亜弥にも似た、いかにもなアイドル・・・と思ったら、実際に香港では人気アイドルなのだとか。

　アクション中心の映画だけど、決してそれだけではなく、盛り込まれたドラマはなかなか見応えあり。
　もっとも、脚本には粗が目立ち、一部強引な展開もあるけれど、この映画で、そこを突っ込むのは野暮ってもんでしょう。　
　あれこれと制約の多いハリウッドから、本拠地の香港に戻って、往年の輝きを見せてくれたジャッキーの活躍を楽しめました。

　（３月２５日　１０９シネマズＭＭにて）

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